看護師が育休復帰するとき、フルタイムから時短勤務(短時間勤務)に変更するケースがとても多いです。
子どもが小さいうちは保育園の送り迎えやお世話など、子ども中心の生活になりますよね。
そこで気になることの一つが、給料がどこまで減るか?ということです。
育休明けの後輩ナース子育てにお金がたくさんかかるから、やっぱり給料が心配……!
今回は実際に育休復帰してフルタイムから時短勤務に変わった私の給料をもとに、手取りや控除額がどう変わるかのイメージをお伝えします。
また、税金や社会保険料がどう変わるかについても、役所の財務部で10年以上働いている夫監修でまとめました。
- 時短になった場合の実際の給料を知りたい
- 育休復帰明け、時短で働くかフルタイムにするか迷っている
- 給料に関して職場にどう聞けば良いのか知りたい
あくまで私の一例ですが、復帰後の金銭イメージを掴む参考になると思います。
時短になったら給料がどのくらい減るのか知りたい!という人は是非チェックしてみてください。
フルタイム看護師→時短へ。給料はいくら減った?


【実例】手取りで8〜10万減った(ほたの場合)
今回は手取りベースで給与比較しました。



やっぱり「手取り額」でどのくらい減るのか、が気になるよね
結論:手取りで月8〜10万円減りました。
- 労働時間が8時間→6時間になったことに伴い基本給も4分の3になった
- 夜勤手当や休日出勤手当がなくなった
ほたの場合
| フルタイム(8時間・夜勤4回) | 時短(6時間・夜勤なし) | |
|---|---|---|
| 基本給 | 20万円 | 15万円 |
| 夜勤手当 | 4.8万円(1.2万円×4回) | 0円 |
| 休日出勤手当 | 1万円(0.5万円×2回) | 0円 |
| 総支給額合計 | 27〜29万円 | 15〜16万円 |
| 控除額合計 | 約4.1万円 | 約2.7万円 |
| 手取り | 23〜25万円 | 13〜16万円 |
単純計算した場合、基本給が20万から15万になりマイナス5万円。夜勤手当や休日出勤手当がなくなり、ざっくり合計11万程度の収入減ということになります。
税金や社会保険料が少し安くなったとはいえ、手取りで大体8〜10万円の減額となりました。



結構減るなぁ……。



夜勤手当や休日出勤手当が厚い職場だと、特に下がり幅が大きいかも。
フルタイム看護師→時短へ。税金や社会保険料の支払額はいくら減った?


朗報!復帰4ヶ月目以降は、税金や社会保険料は1万円安くなった!



税金や社会保険料って、給料から毎月引かれているんだよね?
安くなるんだ!ラッキー!



基本給が減るからね。
その分すこ〜し安くなるって思っておけばいいよ。
毎月の給与明細が準備出来る人はぜひ一緒に見てみてましょう。
総支給額から差し引かれている税金や社会保険料の項目は、大体以下のとおりです。
- 所得税
- 住民税
- 健康保険料
- 厚生年金保険料
- 雇用保険料
(介護保険料は40歳以上からかかるためほたの場合は該当せず)
| フルタイム(夜勤4回) | フルタイム(夜勤なし) | 時短(夜勤なし) | |
|---|---|---|---|
| 所得税 | 6300円 | 4500円 | 3000円 |
| 住民税 | |||
| 健康保険料 | 12000円 | 12000円 | 8400円 |
| 厚生年金保険料 | 22000円 | 22000円 | 15000円 |
| 雇用保険料 | 800円 | 750円 | 1000円 |
※概算値です。住民税については後述



ここでいう税金は所得税と住民税、社会保険料は健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料のことだね。



税金、社会保険料……全然わかんないけど、毎月結構沢山引かれてるんだ。でもなんで住民税が空欄なの?それに復帰4ヶ月以降って……?



一つ一つみてみようか。
【税金】所得税が約3300円/月減。
夜勤月4回フルタイムから夜勤なし時短勤務の場合、所得税は月に3000円減りました。



そもそも所得税とか住民税って何?どう計算するの?



計算には課税所得がキーワード!
給与から経費や所得控除やを差し引いたものが「課税所得(課税標準額)」
この課税所得に税率をかけることで、税金(所得税・住民税)の額が決まります。



課税所得=給料じゃないのか。
- 給与(−経費※1)−所得控除=課税所得
- 課税所得✕税率=税金(所得税、住民税など)
※1経費……会社員の場合、給与所得控除を指す。みなし経費というものです。
給与が少ないとそもそもの課税所得が少ないので、税金(所得税、住民税)も多少安くなります。ちなみに、会社の指示に従って行う年末調整や自分で行う確定申告によっては控除額が変わるのでこの限りではありません。



ここで所得税と住民税について、カンタンにまとめます
| 所得税 | 住民税 | |
|---|---|---|
| 納め先 | 国 | 都道府県 |
| 税率 | 累進課税 | 大体10%(※2) |
| 払い方 | 先払い | 後払い |
※2……住民税は、所得割と均等割があり、所得割が10%、均等割りは一律5000円程度。
所得税は先払いのため毎月の給料からざっくり天引きされます。そして12月の年末調整で過不足分が調整される。という流れです。
所得税率は累進課税という方式をとっています。課税所得(給与から控除を引いた額)が195万以下なら5%、195〜330万:10%、330万〜695万:15%といった。参考:国税庁HP
※ちなみにこの累進課税は、課税所得が195万を超えたら一気に10%になるのでなく、超えた分だけに10%かかるという考え方です。つまり、年間の課税所得が210万円なら、195万×0.05+15万×0.1=11.25万円ということです。



課税所得が200万超えたら税率が全額10%になっちゃう!……というものではないので、ご安心を。
【税金】住民税はケースバイケースなのでノーカン
ちなみに住民税に関しては計算に入れていません。住民税は後払いのため、去年の課税所得の10%が今年6月〜翌年5月の月給から天引きされます。つまり、産休入りした月や育休復帰月によって住民税の額が変動します。



私の場合は以下の通り。
かなり細かいので先が気になる人は読み飛ばしてね
*住民税の支払額はどう変わる?:第一子をR2年11月に出産したほたの場合
R2年8月までは毎月給料から1万円天引き。R1年6月〜R2年5月の給料の10%。
(R2年9月末で産休入り)
R2年9月分給料……9万円天引き。R2年9月分からR3年5月分までを一括徴収。※普通徴収か一括か選べた
R3年6月〜R4年5月……個人で納付。R2年6月〜R3年5月の給料の10%。4ヶ月しか働いておらず少なめ
(R4年5月に育休復帰)
R4年6月〜R5年5月……0円。R3年6月〜R4年5月の給料の10%。5月しか働いてないため扶養控除で非課税に。
R5年6月以降……3000円天引き。R4年6月〜R5年5月分の給料の10%。
余談ですが、大体10%課税される所得割については、育休を取る人は給与所得と扶養人数によって非課税になる(つまり均等割の5000円だけ)になるケースがあります。
税金関係の部署に勤める夫いわく「産休育休を取得しているママさんは扶養を夫から自分に付け替えるだけで所得割が非課税になる人が結構いるけど、やってない人が多いからもったいない!」のだそう。
住んでいる市区町村によって異なりますが、一つの目安として年間総支給額がだいたい200万円以下なら可能性はあります。夫と妻の二人分の源泉徴収票を準備して、市役所にぜひ問い合わせてみましょう。



「所得税と住民税が安くなるような扶養の付け方を教えてほしい」と聞けばいいそうだよ。
所得税と住民税は密接に絡み合っているので、こういう聞き方をすればたいてい教えてくれます。既に払いすぎていた場合は還付金として戻ってきますが、課税されてから5年間が期限なので注意しましょう。
R7年10月に問い合わせ。R6年9月に第二子が生まれており、扶養が2人になった。市役所の課税課に「扶養を夫から妻(私)に付け替えると所得割は非課税になるか」と問い合わせ&手続きをおこない、R7年度(R7.6〜R8.5月分)の住民税(所得割)がゼロに!(均等割の5000円だけになった)
社会保険料は月10400円減。
結論:フルタイム(夜勤月4回)から時短勤務(夜勤なし)になった場合、社会保険料は月に10400円程度減りました。
- 健康保険料:3600円減
- 厚生年金:7000円減
- 雇用保険料はあまり変わらず



うげ、さっきも出てきた社会保険料。よくわからないやつ。



全部で5つだけ!私たちが払っているのは前に挙げた3つ。
なんとなくでいいから把握しておこう。
- 健康保険料
- 厚生年金保険料
- 雇用保険料
- 介護保険料
- 労災保険料
このうち、育休復帰する女性(20〜30代)が実際に払う社会保険料は、3つ。
健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料です。
(※労災保険料は事業主=病院側が払うため給与天引きされない。介護保険料は40歳以上から支払うため今回は除外)
標準報酬月額から当てはまる等級に保険料の金額表と照らし合わせて納付額が決まります。
この標準報酬月額というのは、毎年4月から6月の給料の平均です。



「3月から5月は残業しないほうが税金が安くなる」って聞いたことあるけど、健康保険料と厚生年金保険料のことだったのか。
その標準報酬月額をもとに、保険料額表の区分に当てはまる額が健康保険料と厚生年金保険料の支払額となります。



稼げば稼ぐだけ増えるんだなぁ……。



ちなみに健康保険料は会社と折半なので、実際は半分の支払いで済んでるよ。
給与支給額 × 雇用料金率(※基本給・残業代・通勤手当含む) 大体1000円前後で済むことが多いです。
【悲報】復帰して3ヶ月までは、社会保険料はフルタイムと変わらない
ここで注意したいのが、実際に健康保険料と厚生年金保険料が下がるのは復帰後4ヶ月目の給料からという点です。
さきほど紹介したとおり、社会保険料は「標準報酬月額」という等級表を使って決まり、標準報酬月額というのは、毎年4〜6月の給与平均になります。
困ったことに、何もしなければ育休前フルタイムの給料をもとにした標準報酬がそのまま残り続けます。そして復帰後もフルタイム時と同じ保険料が引かれてしまいます。
復帰後の給料に合わせて料金を下げるには、「育児休業等終了時報酬月額変更届」という手続きを会社から年金機構へ出してもらう必要があります。この届出と、復帰後3ヶ月間の給料の平均額をもとに標準報酬が決まり、4ヶ月目の給与から社会保険料(健康保険料と厚生年金保険料)が下がります。
産休に入る前にこの変更届の案内がある職場がほとんどだと思いますが、もし記憶になければ一度問い合わせしてみましょう。



私も一人目の育休復帰して3ヶ月間は手取りが13万8000円とかだったけど、4ヶ月目からやっと15万行くようになったよ……。
基本給、夜勤手当、残業代、ボーナス、それぞれどのくらい減ったか?


一番ボーナスの下がり幅が大きい!
主に減ったのは基本給とボーナス、特に基本給をベースに計算されているボーナスの下がり幅が一番大きかったです。



ボーナス、査定期間ずっと働いてたのに手取りで20万もなかった……。
- 基本給:20万円→15万円(年ごとに昇給があり、一人目育休復帰から3年経った今では15万8000円)
- 夜勤:していないので手当なし
- 残業代:時間単価は変わらない
- ボーナス:冬は手取り50万→20万ほどへ減。
基本給は単純に8時間労働から6時間労働に変わったため、4分の3の額になりました。
職能手当、夜勤手当、制服のクリーニング手当、通勤手当など、フルタイムか時短かどうかにかかわらない部分の手当はそのまま変わりません。残業代も時間単価は変わらない規定でした。
夜勤や手当の種類にもよりますが、夜勤依存・ボーナス多めの病院ほど、時短勤務になった途端に給料の下がり幅が大きくなると言えます。



うちの病院がまさにそれ。
実際に給料がどのくらい減るのか知りたい!でもどう聞けばいい?


あくまで私のケースを紹介しましたが、職場の規定はそれぞれです。職場によってはフルタイムと時短でもらえる手当の額が変わることもあります。時短勤務になったらどう変わるのか、あらかじめ事務に確認しておきましょう。
角が立たないように聞くコツは、制度としてどうなっているかを淡々と確認する姿勢を見せることです。



ちなみに給料については看護部長ではなく事務が一番くわしいので、担当の事務の人に聞こう。
切り出し方
- 例:「復帰時にフルタイムにするか、時短勤務にするかで迷っているので、参考までに給料や手当がどう変わるか教えて下さい」
- 例:「時短勤務になると労働時間が減る分給料も減ると思いますが、基本給や手当がどんな規定になっているのか確認しても良いでしょうか」
基本給がどう減るかを知りたい
- 例:「基本給は8時間勤務から6時間勤務になると、単純に4分の3になるということで良いでしょうか」
各種手当の支給ルールを知りたい
- 例:「夜勤手当はフルタイムと同じですか」
- 例:「休日出勤は6時間で働いた場合、手当は4分の3になりますか」
ボーナスがどう計算されるか知りたい
- 例:「短時間勤務だとボーナスは支給されますか?計算方法は変わるんでしょうか」
- 例:「査定対象期間はどうなっていますか(例えば夏のボーナスは前年10月〜3月の期間が対象、など)」
- 職能手当・通勤手当・被服手当などの勤務形態に関係のない手当はフルタイムと同じ
- 休日出勤手当は休日も6時間しか働かないのなら4分の3



ちなみに私は休日だけフルタイムにしています。休日出勤手当が全額もらえるのに加えて、前残業と後残業の両方が残業代として入るので。
お金のことは聞きにくいという人も多いですが、雇用条件は後々自分の中の不満につながる可能性もあるので、復帰前の段階で事務にズバッと聞いてしまいましょう。淡々と聞けば相手も不快になることはないはずですし、直接の上司ではない他職種のスタッフであればまだ聞きやすいはずです。
まとめ:フルタイムから短時間勤務になる前に、給料がどれくらい減るか把握しておこう


看護師という職業柄、お金のことを聞くのはタブーという風潮が残る職場も多いです。
また、自分の給料の内訳がどうなっているのか、無頓着なひともいるのではないでしょうか。
しかし子育てをしながら少子高齢化の厳しい時代を生き抜くためには、毎月の給料の額はとても重要です。
仕事復帰するまえに、職場の規定についてぜひ一度確認してみましょう。既に復帰している人も、自分の給与明細を見ながら各種手当の額や社会保険料・税金でどの程度引かれているかを確認してみてくださいね。
