育休復帰して病棟看護師として働いていますが、同じ時短勤務の同僚と「仕事やめたいね」とよく話します。
- 残業で保育園のお迎えが遅れる
- 上司から夜勤、休日出勤の打診
- 増える仕事量、見合わない低収入
- 子どもが小学生になれば時短制度は使えない
ほた子どもがまだ小さくて家事と育児に追われているのに、こんなにハードな仕事続けられる自信がない……。
病棟の時短ママ看護師同士で話していると、根底に共通のニーズがあることがわかりました。
看護師の資格や経験を活かせる仕事をしたい。
でも夜勤はしたくない。
子どもとの時間が欲しいから土日祝も休みたい。
できれば収入も下げたくない。
でも、そんなワガママとも言えるニーズを満たせる仕事なんてあるのでしょうか?
今の職場から逃れたい一心で調べるなかで知ったのが、
治験コーディネーター(CRC)という治験にまつわる仕事でした。
ちょうど弟夫婦が現役CRA&元CRCなのもあり、
実際の仕事内容や福利厚生・スケジュール、未経験でもなれるかどうかなど、
ママ看護師目線で気になることを徹底的に聞き取り取材しました。
一言でまとめると、「デメリットや向き不向きはあるものの、治験コーディネーターの働き方はママ向け。仕事内容は看護師有利」という所感でした。
- CRCの仕事内容
- 看護師からCRCへ転職するメリット
- CRCに向いている看護師
- CRC求人の探し方
治験コーディネーター(CRC)になると、こんな働き方ができます。
- 夜勤なし
- 土日祝はほぼ休み
- 残業は比較的少なめ
- 看護師の経験が十分に活かせる
- 子どもの突発休にも比較的対応しやすい
私は条件が合わず見送りましたが、ママナースの選択肢としては大いにアリだと感じました。
子どもとの生活を優先した働き方がしたい人
CRCに少しでも興味がある人は
どういう仕事なのかぜひ一緒に確認してみましょう。
治験コーディネーター(CRC)ってどんなお仕事?


治験とは?
新しく開発された薬(治験薬)の効能や安全性を詳しく確認するための臨床試験です。
製薬会社がこの治験薬の結果を厚生労働省に提出し、承認されて初めて薬が市場に出回ることになります。
治験コーディネーター(CRC)の主な仕事内容
治験患者と接して治験のサポートするのが主な業務です。
CRCには院内CRCと、企業側(製薬会社、もしくはSMO:治療施設支援機関)のCRCの2種類があります。
SMOのほうが求人数が圧倒的に多いので、転職してCRCになるとしたらSMOのCRCになる人がほとんどです。
主な仕事内容は以下のとおりです。
- カルテから条件に合う患者さんを探す(カルテスクリーニング)
- 同意説明の補助や書類作成
- 来院した治験患者の付き添い
- 投薬条件を満たしているかの確認
- 症例報告書への入力(検査データや有害事象など、カルテに記載されていることを転記)
- 医師やCRAとの日々の連絡・調整
治験は製薬会社の定めたプロトコルに従って細かく手順が決められています。
その手順通りに治験が行われるよう、治験患者が外来で検査・診療を受ける際には付き添いや各部署へのフォローを行います。
文書の作成も多く、体力勝負の看護師に比べるとデスクワーク寄りです。
製薬会社側の人間で、CRCと密接に関わる職種です。
治験臨床試験がGCP(治験全体に関するガイドライン)やプロトコルに従って、倫理的・科学的に治験が正しく実施されているかを確認すること、データの信頼性と被験者の安全を確保することが主な役割です。
治験コーディネーター(CRC)の仕事に看護師経験が役に立つ4つの理由


CRCは医療行為は行いませんが、施設の医師や看護師、患者さんと密接に関わります。
医療知識や看護師経験があること、医療現場の実際を知っていることは
CRCの仕事をするうえでかなり有利に働きます。



看護師経験が生きるところしかないです!
1.カルテが読める
カルテスクリーニングでは、既往歴や検査データなどを読み取り、治験に組み入れる患者の条件に合うかを判断します。慣れている看護師からしてみれば見落としがちですが、一般の人はカルテが読めません。もしくは理解に時間がかかります。
医療知識がいるのはもちろん、カルテ上には専門用語や略語があふれており初読でなかなか理解しにくいものです。看護師にとって、カルテを読むのに慣れているということは大きなアドバンテージになります。
2.検査値や副作用の理解が早い
治験では「Hb:9.0以上」「特定の副作用が出たらこの対応(ex.下痢が出たらロペラミドを処方する)」など、細かい基準があります。その意味が瞬時に理解できることは、大きな強みになります。
3.患者さんへの説明・フォロー
治験薬は有効性や安全性が保障されていないため、不安を感じる患者さんも多いものです。これまで看護師として患者さんと向き合ってきた経験があれば、治験説明や精神的フォローの場面にも生かすことができます。
4.医師とコミュニケーションがスムーズに取れる
治験は医師との連携が不可欠です。
看護師は臨床経験があるからこそ、患者の疾患や病状などの全体像を掴んだうえで医師と対等に話せます。看護師としての知識や経験、医師とやり取りしてきた経験はかなり貴重です。



医師とスムーズに話せるCRCがいると試験がスムーズに進みやすいから本当に助かる。
子育てしながら治験コーディネーター(CRC)はできる?一日のスケジュール・有休・残業などの実情調査


結論から言うと、子育てしながら働いているCRCは多くいますし、ライフスタイルに合わせて業務調整しやすい仕事といえます。
ただし、完全にラクというわけではありません。
ここでSMO所属のCRCとして働いていた義妹に取材した、時短ママの実例をまとめます。
1日のスケジュールは?直行直帰はできる?
―――直行直帰は可能です。スケジュールもある程度自分で組み立てられます。
7:00 起床、朝食準備、子どもの支度
8:30 保育園へ送る
8:50 担当医療機関へ直行
9:00 治験患者対応(来院対応・同意確認補助・検査介助など)
9:30 検査・診察立ち会い、医師確認
13:00 午前対応終了、昼食
14:00 症例報告書入力、データ確認、メール対応
15:45 業務終了
16:30 保育園へお迎え
7:00 起床、朝食準備、子どもの支度
8:30 保育園へ送る
8:50 出社(オフィスもしくは病院のCRC専用室)
9:00 業務開始
―症例報告書の入力
―症例報告後の質問回答
―文書の作成
―請求書作成時の対応
12:00 昼食
13:00 業務再開
15:45 業務終了
16:30 保育園へお迎え
病院内にCRC専用スペースがある施設も多いため、患者対応のない時間帯はそこへ直行して入力作業(カルテ内容を所定のサイトに転記する)をしてそのまま直帰する日もあります。
オフィスへ戻ることもありますが、頻度は月に数回程度。月によっては月1回のときもあるのだそう。
「今必ず終わらせないといけない仕事」というのは少ないため、病棟のように緊急入院対応やナースコール対応で帰れない、という働き方ではありません。残務は時間や日にちをずらして消化する、というやり方が可能です。
※SAE時(後述)などの緊急対応はありますが、常態化しているわけではありません。
始業・終業時間は自分で決められる?
―――可能です。
フレックス制を導入している会社も多く、時短勤務のママCRCも数多く在籍しています。
コアタイム(必ず出勤している時間帯)が11時〜14時で、それ以外は自由に出勤・終業時間を決められる、という働き方も職場によっては可能です。
子どもの急な体調不良時は休みやすい?
―――調整は必要ですが、比較的休みやすい環境です。
CRCの業務は、1つの治験試験を複数のCRCで担当するという体制になっています。
試験ごとに主担当CRCはいますが、完全な専任制ではありません。
そのため、子どもの急な体調不良時などは
- 来院対応を別のCRCが担当する
- 医師に確認する業務を代わってもらう
- データ入力を後日に行うor分担する
- 被験者への連絡対応を引き継ぐ
といった形で業務を割り振ることが可能です。
チーム制で業務を回す体制は、子育て世代にとって大きな安心材料になっています。
残業や持ち帰り仕事はある?
―――残業ゼロではありません。でも「定時で上がって保育園のお迎えと子どもの世話を優先したあとに家で仕事をする」などという調整が可能です。
病棟のような「今日中に絶対終わらせないといけない」という種類の残業はありません。しかし、書類作成など持ち帰り可能な作業も多いため、子どもが寝た後に作業を進める人もいます。
突発対応や電話対応は?
―――突発的な緊急対応(SAE)はありますが稀です。患者からの電話対応業務もありますが、時短勤務者は外してもらうような配慮をしてもらうことも可能です。
SAE(重篤な有害事象)が発生した場合、原則24時間以内の報告が必要です。ただし発生時間帯によっては翌日に対応することもあります。
頻度的は多くはなく、義妹の場合3年間で7〜8件だったとのこと(がん試験以外の領域)。
がん領域ではやや頻度が高い傾向があります。
患者からの電話での問い合わせ対応も時々ありますが、時短者に配慮して第一連絡先を変更するなど、チーム内で調整も可能です。



おれの担当試験の主担当CRCが時短の人なんだけど、
16時以降は別の人に電話することになってるよ
土日は休める?
―――基本的に土日祝休みです。
ただし、担当患者が土曜外来を受診する場合などは、2,3時間出勤することはあります。
その場合はフレックス制度を活用し、時間休や代休として調整できるケースが多いようです。
年収はどれくらい?
―――SMO所属のCRCの場合、フルタイムで年収500万円前後が一つの目安です。
看護師からの転職者の多くは、SMO所属のCRCとして就職します。
例:
30代/看護師経験約10年/未経験転職
・フルタイム:約400〜500万円前後
・時短勤務:約300〜400万円前後
会社規模・地域・経験年数による差はありますが、夜勤なし・病棟時短勤務者よりも高くなる可能性は十分にあります。
治験コーディネーター(CRC)のメリットとデメリット、向いている人と向いていない人は?


現役CRAの弟と、元CRCの義妹にリアルな実情を取材しました。



未経験転職者希望者にとっては一番気になるところ!
CRCのメリット
- 夜勤なし
- 基本土日祝休み
- スケジュール調整がしやすい
- 看護師経験がそのまま武器になる
- 体力勝負ではない
CRCはチームで動く仕事です。
一人で抱え込む業務は少なく、調整次第で休みも取りやすいそうです。
生活リズムを自分でコントロールしやすい点は、子育て世代にとって大きなメリットです。
CRCのデメリット
- 高い調整力と段取り力が必要
- 企業CRCは「数字」を求められる
- 多職種との密なコミュニケーション
- 事務作業が多い
- 治験はルール厳守
義妹に一番大変だったことを聞くと、「数字を求められる(治験参加患者を確保しなければならない)プレッシャーが大きかったこと」と話していました。
看護師に比べて体力的負担は減りますが、業務内容的に調整・管理が中心となっていきます。
▼メリット・デメリットの詳細はこちらの記事で紹介しています。


CRCに向いている人
- スケジュール管理が得意
- マルチタスクが苦でない
- いろんな施設に出向くのが苦ではない
- 看護経験を活かしたい
- 人とコミュニケーションをとることが好き
看護師としての知識や経験があるからこそ、他職種には難しいことも自然にこなせる場合があります。
弟夫婦ともに
「CRCの仕事は、看護師に求められるスキルとの親和性が高い」
「看護師の経験は本当に強い」
と断言していたほどです。
CRCに向いていない人
- 身体を動かしていたい人
- デスクワークが苦手な人
- 現場の緊張感や処置の手応えが好きな人
CRCは楽な仕事ではありません。消耗の種類が変わる仕事です。
治験に参加している施設へ出向く外仕事も多々ありますが、長時間のデスクワークをこなす日もあります。
▼CRCに向いている人・向いていない人の詳細はこちらの記事で紹介しています。


未経験からCRCになれる?Q&A形式で一気に解決!


Q,未経験の人はどれくらいいる?



転職者のうち未経験者は7割、経験者は1〜2割というデータもあるようです。
未経験転職者がほとんどのため、入職後の研修制度が整っている会社が多いです。
Q.転職者はどのくらいいる?



私が新卒で入社したときは、年度内の途中入社含め
同期20人のうち転職者が3人でした。
転職者自体、珍しくない業界です。
Q.転職者のうち元看護師はどのくらい?



体感8,9割は元看護師さんかな。
最近では医療系資格や臨床経験◯年以上、という条件を課す会社もあるようです。
Q.パソコンでの作業が多いと聞いたけど、必要な特殊技能はある?



パソコンの特殊技能は特に必要ありません。
文書作成時にパソコンが扱えればOKです。
わからないことがあってもネット検索ですぐ調べられる時代なので、そこまで大きなハードルではありません。
Q.年齢制限はある?



転職者は20代後半〜30代の人が多いです。
CRCに限らず、一般的に転職は若い人材が有利です。若い人のほうが体力がある・新しい知識や経験の吸収力が高い・長期的に働く見込みがある・人件費が安くつくなどといった理由が挙げられます。
未経験の場合、応募条件が35歳までというSMOも多いです。
Q.求人は都市圏がほとんど?



地方でもありますが、都市圏に比べて自宅から遠い場合があります。
私は地方在住ですが、調べたところCRCの求人のある会社は県内で2,3社程度でした。
そもそも会社からの求人がない時期もあるようです。
特化型の転職サービスを使うという選択肢


CRCへの転職は、一般的に次の流れで進みます。
- CRCに関する情報収集
- 応募する求人を決める
- 応募書類(履歴書・職務経歴書・)の作成と提出
- 書類選考通過後、面接日程調整と準備
- 面接→内定→退職
CRCの求人は一般の求人サイトや企業HPからも応募できますが、そもそも書類選考が通りにくく、面接で落とされることもよくあります。
とくに看護師からの転職では、「自分の看護師としての経歴や経験、長所が企業から見てどう強みになるのか」を伝えるのが重要になります。
そのため、CRC特化型の転職サービスを利用する人もいます。
なかでもCRCJOBは、CRC専門の転職エージェントのひとつです。
- CRC専門なので取り扱い求人数が多い
- 詳しい仕事内容を元CRCスタッフから聞ける
- メリットだけでなく、大変なところやデメリットも詳しく教えてもらえる
- 書類添削や面接対策を丁寧にサポートしてもらえる



「ちょっと気になるな……」という程度でも大丈夫。
少しでも興味があるのなら、まずは知ることから始めましょう
- 具体的にどんな仕事か
- 出勤日や休みの取り方など子育てと両立出来そうか
- 自分に向いていそうか
それらを確認して情報を得るだけでも、私たちの仕事選びの選択肢に幅がでます。
まとめ:治験コーディネーターとママ看護師は親和性が高め!


どの仕事にもメリットやデメリット、向き不向きがあります。
治験コーディネーターも、すべてのママ看護師に合うとは言い切れません。
ただ、
- 夜勤がない
- 休みが比較的取りやすい
- 看護師経験が生かせる
という点で、子育て中の看護師にとって相性のよい働き方の一つだと感じています。
転職そのものにはリスクがありますが、情報収集にリスクはありません。
「自分にどんな選択肢があるのか」を知るだけでも、
今の働き方の見え方が少し変わることがあります。
少しでも気になっているのであれば、まずは情報収集をしてみましょう。
※CRCは一般の看護師転職サイトでは
求人が見つかりにくいこともあります。
CRC専門の転職サービスに相談すると
仕事内容や働き方も詳しく教えてもらえます。