看護師からCRC(治験コーディネーター)への転職を考えている人の中には、
- 治験コーディネーター(CRC)は楽って本当?
- 看護師と比べて働き方はどう違う?
- 転職して後悔する人はいないの?
と気になっている方も多いと思います。
CRCは夜勤がなく、体力的な負担は軽くなりやすい職種です。
実際に「生活はかなり楽になった」と感じる人も少なくありません。
ただしその一方で、
- デスクワーク中心の働き方
- スケジュール調整や書類管理
- 治験ルール(プロトコル)の厳守
など、看護師とは違う大変さもあります。
この記事では、元CRCの義妹と現役CRAの弟から聞いた一次情報も参考にしながら
看護師から治験コーディネーター(CRC)へ転職した場合のメリット・デメリットを
プライベート面と仕事面に分けて整理しました。
- 看護師が治験コーディネーター(CRC)に転職するメリットとデメリット(プライベート・仕事面)
- 看護師とCRCの働き方の違い
この記事を読むことで、
CRCへ転職した場合の働き方や生活の変化を具体的にイメージできるようになります。
「夜勤なしで働きたい」
「でも転職して失敗したくない」
そう考えている看護師の方は、ぜひ参考にしてみてください。
【比較】治験コーディネーター(CRC)と看護師の働き方の違い

治験コーディネーター(CRC)と病棟看護師の働き方の違いを表にまとめました。
| 病棟勤務の看護師 | 治験コーディネーター (CRC) | |
|---|---|---|
| 夜勤 | あり(免除のケースもあり) | なし |
| 休日出勤 | シフト制 | 基本土日祝休み |
| 体力的負担 | 高い(立ち仕事・患者ケア) | 比較的少ない |
| 業務内容 | 患者の検温・ケア中心 | 書類業務 |
| デスクワーク | 少なめ | 多い(7割) |
| ストレス要因 | 人手不足による多忙 急変や急変などの緊急対応 | スケジュール管理 プロトコル遵守 多方面への気遣い |
CRCは体力面では楽になると感じる人が多い一方で、
「調整」「管理」「正確さ」が求められる仕事でもあります。
ここからは、治験コーディネーターのメリット・デメリットをプライベート面と仕事面に分けて整理していきます。
治験コーディネーター(CRC)のメリット|【プライベート面】楽になるポイント5つ

1.夜勤がなく身体の不調が軽くなる
CRCに夜勤はありません。
病棟勤務では、
- 夜勤による生活リズムの乱れ
- 慢性的な寝不足
- 患者ケアによる腰痛
- 手洗い・消毒の繰り返しによる手荒れ
といった不調を抱えながら働く人も少なくありません。
CRCは体力仕事が中心ではないため、倦怠感・腰痛・手荒れなどの身体的な負担は大きく減ります。
特に年齢を重ねると、夜勤のない生活のありがたみはひしひしと実感します。
看護の現場はどこも慢性的な人手不足です。上司から「夜勤をしてくれないか」「土日祝も出勤を」「早出や遅出も」などと上司から打診されることがなくなり、ストレスから解放される人もいます。
ママ看護師にとって、夜に家を空けなくていいこと自体が安心材料になります。
2.土日祝休みで家族との予定を立てやすい
CRCは基本的に土日祝休みです。
担当施設が土曜診療をしている場合は患者の受診に合わせて出勤することもありますが、それもチーム内のCRC間で業務の調整が可能です。
土曜午前中2時間だけ出勤して、その分どこかで代休を2時間取る、といった対応もできます。
元CRCの義妹土曜に受診する治験患者さんがいたら出勤することもありましたが、まれでした。
また、フレックス制度を採用している企業も多く、始業時間と就業時間を自分で決められる会社もあります。



フレックス制を導入している大体の企業で、コアタイム(働いていないといけない時間)が11時〜14時、みたいに決まってるよ。
病棟のように「その時間その場(病棟)にいないと現場が回らない」構造とは違い、
いつでもどこでも仕事が持ち運べる=調整の余地があるということです。
3.体力的な負担がなく、仕事後に余力が残る
病棟看護師は立ち仕事が中心で、常に動き続けています。
ナースコール対応、トイレ介助、移乗、処置……一日の終わりには体力が尽きていることも少なくありません。
一方、CRCは業務の約7割がデスクワークです。
「毎日疲れて子どもと一緒に寝てしまって、自分時間が取れない」
という生活から、
子どもの寝かしつけが終わってから夜自分の時間を確保する
という生活にシフトチェンジすることも可能です。
定時後に家事や育児が待っているママ看護師にとって、仕事後の余力は意外と重要なポイントです。
4.柔軟な働き方ができる|有休・突発休が比較的取りやすい
CRCになると自分で業務スケジュールを管理します。
治験患者の外来来院対応などの固定の予定はありますが、
それ以外の業務は基本的に自分の裁量で組み立てられます。
フレックス制を導入していて、始業時間と終業時間を自分で決められる会社もあります。
そのため、
- 進捗を見ながら有休をとる
- 子どもの発熱時にチーム内でフォローを依頼する
- 始業・終業時間をプライベートに調整する
といった働き方が比較的しやすい環境です。



この人じゃないと絶対に回らない、という仕事はないです。
お互いにフォローし合っています。
例えば毎日保育園のお迎えに間に合うか?という疑問があったとして、
毎日仕事が定時で終わるというよりも「間に合わせるために調整できる」という感覚が一番近いです。
病棟勤務との大きな違いは、業務を他人や未来の自分に託すことができるという点かもしれません。
5.清潔な環境で働ける
CRCは採血や処置などの医療行為は基本的には行いません。血液や排泄物に直接触れることはなく、感染リスクや身体的ストレスは低い環境で働きます。
2020年のコロナウイルス流行以降、各病院ではインフルエンザ罹患者やノロウイルス罹患者なども厳重に管理されるようになりました。病棟内で1人でも感染症患者がでたら厳重に管理される時代です。今でも時々病棟内感染が流行しますし、その都度現場のスタッフは疲弊します。
患者体液や汚物に触れる機会がなくなり、PPEで感染者対応をすることもない。もちろん自分が罹患するリスクも少ない。
ここを精神的に楽、メリットと感じる人もいます。
治験コーディネーター(CRC)のメリット|【仕事面】看護師経験が活きるポイント5つ


1.医学的知識と経験がCRCの仕事に直結する
看護師はカルテをスムーズに読むことができます。医療略語、病状と検査データの関連、病気に対する一般的な治療方法といった知識と経験があるからです。
カルテスクリーニング(治験の対象になる患者さんを探すこと)の際にも、医者に相談や提案を持ちかける際も、医療知識は必須です。
CRCにとっては必須スキルとも言える知識や経験を、既に持っているのはかなりの強みになります。
2.先生と円滑にコミュニケーションが取れる
上記で触れたとおり、医学的知識と経験があることで医師とのコミュニケーションにも大いに役立ちます。
そもそも医師とコミュニケーションを取るうえで、出てくる単語や言っている意味が理解できなければ話になりません。
また、医師がどのような雰囲気で仕事をしているかを知っていることも重要です。
「月曜午前は外来が立てこんでいて昼食が取れないくらい忙しそうだから、火曜の午前中の合間を見て先生に聞こう」などと、「先生の感じ」を理解していることも円滑なコミュニケーションにつながります。
3.病院内の「実務の流れ」に理解がある
看護師の経験があれば、病院やクリニックがどのようなシステムになっているのかを把握しています。
内部の動きを熟知していることは、治験試験を進めていくうえで大きなメリットになります。



入院患者の20時の採血が必要になった時、誰が採血をして誰が検体室まで運ぶのかが全然わからなかったけど、元看護師のCRCが話し合いの場で内情を教えてくれて助かりました。
4.患者対応の経験があるからこそ信頼を築きやすい
病気を抱える患者との関わり方やコミュニケーションの取り方は、看護師の臨床経験が長い人ほど有利です。
治験参加に関する説明や疑問不安に対する回答、試験参加後のフォローなど、治験患者と何度も関わります。患者に寄り添いながら信頼関係を築きつつ、着実に業務を遂行できるスキルはとても役立ちます。
患者への説明時も、「元看護師」という安心感を与えられることができます。



元看護師さんは説明に慣れていて、安心感がある人が多いかも。
5.自分の裁量で仕事を組み立てられる
CRCはチーム制ですが、日々の進行管理は基本的に個人単位です。
- いつ症例報告書に入力するか
- いつ同意説明を行うか
- どの順番で書類を処理するか
本人にある程度の裁量が任されています。
そのため、たとえば「保育園のお迎えに行くために定時退勤して、夜30分だけ自宅で入力作業をする」というような働き方も可能です。
看護師の仕事は常に優先順位を考えながら動いており、イレギュラーがあっても冷静にスケジュールを組み立てなおして仕事をすすめている人がほとんどです。スケジューリングに慣れている看護師には相性の良い働き方です。



忙しいけど、自分のスケジューリング次第で回せます。
その他、仕事面でのメリットとして
- 新薬開発に関われることで医療者としてのやりがいを感じる
- 急変対応などの精神的プレッシャーはない
- 頻回に鳴るナースコールや緊急入院などがないので、自分のペースで仕事ができる
なども挙げられます。



症状がよくなったと患者さんに感謝されると嬉しいです!
治験コーディネーター(CRC)のデメリット|【仕事面】きつい・後悔ポイント5つ


看護師から治験コーディネーター(CRC)への転職も、メリットばかりではありません。
少なからずギャップがあります。
1.デスクワーク・書類業務が中心でつらい
CRCの仕事は想像以上にパソコン作業が多く、全業務の7割程度を占めます。
症例報告書補助、書類整備、確認作業。事務作業が苦手だと、辛いと感じることもあるかもしれません。
眼精疲労や肩こり、運動不足といった新しい悩みも出てくる可能性もあります。
2.スケジュール管理・調整が大変
看護師は、「その日の業務をその日の出勤者で協力して終わらせて退勤する」という働き方がほとんどです。
しかしCRCの業務は、チームで動いていても基本的に個人戦です。
そして業務を数日〜数カ月に渡って持ち続け、少しずつスケジュールを進めたりタスクを完了させていきます。締め切りもバラバラなので、自分1人で複数のタスクを同時進行で優先順位をつけつつスケジュールを組んで消化する力が必要です。
看護師の臨床現場でも優先順位やマルチタスク、並列処理が求められます。看護師の仕事ですでに慣れている人も多いですが、苦手な人は苦労するかもしれません。
3.担当施設の医者やコメディカルスタッフなど気を遣う場面が多い
CRCは
- 医師
- 看護師
- 薬剤師
- 検査技師や放射線技師
- 事務
など多くの職種と関わります。
自分が元看護師でも、相手にとっては「治験の人」。
治験は通常診療の業務に追加される形になるため、院内スタッフに協力してもらうのに多方面への気づかいが必要です。



(病院の人に「仕事を持ってくる人」認定されることもある。笑)
また、CRCは決められたプロトコルに従って安全にかつ正確に進める補助をする必要があります。症状に対する処方薬の指定や採血スピッツの採取順番など、医師や看護師などのスタッフに依頼する立場なので、タイミングや言い方などに気を遣う場合が多いです。
また治験をすすめるうえで、医師の署名が必要な書類や医師に確認するべき事項がたくさんあります。
外来診察中の医師は基本的に多忙です。スタッフに話しかけられて思考やカルテ入力が中断されることも多々あり、ストレスに感じる環境にいます。医師に負担のないタイミングを図って相談や署名をもらう機会もよくあります。



フルタイムで働いていたときの話ですが、忙しい先生に書類を書いてもらうために診療が終わる19時まで待つこともありました。
4.患者の希望よりプロトコル優先になることもあり、葛藤することもある
治験では試験実施計画書(プロトコル)に基づいて手順通りに行われます。治験薬の影響因子にならないよう、ときには患者さんが希望する薬が飲めない場合もあります。
このように、看護師として長年積み重ねてきた「目の前の患者さんの利益を優先する」感覚とプロトコルの間で葛藤を感じる人もいます。
5.分からないことが無限に出てくる
CRCの業務は、体系的な勉強というよりも実務の中でわからないことにぶち当たった際にその都度検索したり調べたりして対応する、という側面がとても強いです。



理解を深めるためにこういう勉強をしているというよりは、まず分からないことが分からない状態になるのが多いです。
その都度調べるという対応になっていました。
それとは別に、試験の立ち上げの際など自分が全く担当していない試験の勉強をすることもあります。



新しい治験計画書の勉強会に参加することもよくあるよ。
そのほかメールや電話対応といったビジネスマナーなど、看護師がこれまであまり触れてこなかった社会人文化にも触れます。最初は分からず戸惑うかもしれません。
以上のメリット・デメリットは、看護師からCRCへ転職したときに「思っていた働き方と違った」と感じやすいポイントでもあります。
治験コーディネーター(CRC)に向いている人・向いていない人の特徴は、こちらの記事で詳しく整理しています。
▶治験コーディネーター(CRC)に向いている人・向いていない人の特徴
治験コーディネーター(CRC)のデメリット|【プライベート面】意外と大変なポイント2つ


1.オンオフが曖昧になることもある
子どもの保育園に定時でお迎えに行けるよう調整できるということは、
裏を返せば持ち帰り作業が「できてしまう」ということです。
例えば、子どもの急病で早退した分消化出来なかったタスクを、夜自宅で処理することもあります。
体力的には楽でも、「食器の片付けの合間にメールチェックして、子どもを風呂に入れて寝かしつけが終わったら書類を作成して……」など、繁忙期は頭の中が完全にオフになるとは限りません。



残業はそこまで多くないけど、普通にあります。
2.緊急対応が発生する場合がある
看護師は休みの日に呼び出しがかかったり連絡がくることはほぼありません。
CRCも基本休みですが、急な対応が必要になることが2つあります。
1つ目は、電話対応です。内容はほぼ治験患者さんからの問い合わせです。
「治験薬を朝飲み忘れたけどどうしたらいいか」「歯医者で処方してもらった薬があるけど、飲んでもいいのか」など、相談内容は多岐に渡ります。



子育て中の時短の先輩に『夕方以降の電話の第一連絡先をフルタイムの人が担当する』という対応をしていました。フルタイムでも、『この日の夕方は用事があるから外してもらうように連絡先を変える』など柔軟に変えていました。
2つ目は、SAE(重篤な有害事象)発生時です。頻度は稀ですが、発生時には24時間以内に報告が必要です。



症例報告書はそもそも医師の記録をそのまま転記しなきゃならんので、まず医師にカルテを書いてもらうところから。
さて、ここまでCRCのメリット・デメリットを整理しました。
実際に転職を考える場合は
- CRCのもっと具体的な仕事内容
- 転職までの一連の流れ
- 転職エージェントの活用メリット
なども知っておくと判断材料が増えます。
▶ 看護師から治験コーディネーター(CRC)になるための方法まとめはこちら
まとめ|CRC(治験コーディネーター)は楽?メリット・デメリットから考える


CRCは、看護師と比べるとプライベートが充実する働き方です。
- 夜勤がない
- 基本土日祝休み
- 体力仕事が少ない
といった点から、生活リズムや体調面では楽になると感じる人も多いです。
一方で、
- スケジュール調整
- デスクワーク中心
- プロトコル遵守
- 周囲に気を遣う
など、看護師とは違うストレスもあります。
そのため、「体力的には楽になるが、ストレスに感じる部分がガラッと変わる」と考えておくとイメージしやすいかもしれません。
CRCへの転職を検討する場合は、
- 実際の仕事内容
- 転職までの流れ
- どんな人が向いているのか
なども知っておくと判断しやすくなります。
CRCの仕事内容や転職方法については、こちらの記事で詳しくまとめています▼


CRCは看護師の転職先としては少し特殊な職種なので、
仕事内容や実情を知らずに転職するとギャップを感じることもあります。
もう少し気になるという人は、まずは情報収集してみましょう。
CRCの詳しい仕事内容を知るにはこちらの転職エージェントがおすすめです▼
