私が病棟看護師として育休復帰して時短になったころ、一つ大きな問題がありました。
それは、患者さんや病棟に関する情報がまったく入ってこなくなったことです。
- 「Aさんにトイレに行きたいと言われた!排泄はおむつ内?トイレ誘導?」
- 「Aさんの車椅子への移乗レベルは……?私一人で介助できる?」
- 「Bさんが1人で歩いている。先週はたしか見守りが必要だったけど、今はどう…?」
- 「子どもの熱で休んでいた間にまた新しい患者が増えた!」
夜勤をしないぶん夜間の情報が減ったのは仕方がありません。しかしそれを差し引いても、患者さんについて知らないことが本当に増えました。
患者の情報が少ないと、朝の患者情報収集にも時間がかかります。
そして日々家事育児に追われている時短ナースに、前残業する時間はありません。
- 患者情報が取れないまま毎日業務スタートしている
- 優先度がうまくつけられない
- 予定外のイベントが起こりがち
- 把握していなかった情報がポロポロとあとから出てくる
ほた受け持ち業務をスムーズに遂行するには、朝の情報収集をすばやく行うことが重要!
今回は患者の情報収集のコツについて紹介します。
以前師長に「ほたさんはどうしてそんなに早く患者情報を把握出来るの?」と聞かれたことがあり、その際メモしたことをまとめました。
- 患者の情報収集のコツが知りたい
- 朝の準備をスムーズに行いたい
- 時間のロスを減らしたい
そんなふうに悩む方は、是非読んでみてくださいね。
患者情報は「デイリー情報」と「バックグラウンド情報」の2種類!


患者情報は、毎朝ルーチン業務で必ずチェックする『デイリー情報』と
その人の全体像を把握するための『バックグラウンド情報』の2種類があります。
| デイリー情報 | バックグラウンド情報 |
| 血糖測定やインスリンなどの指示確認 点滴の有無 内服薬の有無 清潔ケア予定 本日の検査予定 | 年齢、性別 入院までの経緯 既往歴・現病歴 医師や看護師の経過記録 キーパーソンや家族情報 ゴール(目標)・希望する退院先 |



看護現場で「情報収集」と言えば、バックグラウンド情報のイメージ!
情報収集の際は、この2つを意識的に分けます。
デイリー情報はTODO項目としてサクッと確認&メモしましょう。
朝のルーチン業務として確認している人も多いはず。



うちの病棟だと、冷蔵庫保存薬、内服カート、点滴カート、入浴保清板、みたいに場所ごとにまとまってるから一箇所ずつ回るよ〜。
バックグラウンド情報は朝の検温出発前に情報収集しても良いですし、PCをベッドサイドに持ち込みその場で確認するのでも大丈夫です。



デイリー情報は朝のルーチン業務だからやってるけど、バックグラウンド情報こそ把握するのに時間がかかるんだよなぁ……。



そうだよね。
ここから本題!効率よく情報収集する方法を紹介するよ。
【準備】患者情報(バックグラウンド情報)収集の心がまえ


カルテを見る際、自分流の手順(パターン)を確立させておく
バックグラウンド情報、つまり患者の全体像を把握するためには、どのような手順(パターン)で情報を拾っていくのが自分にとって理解しやすいか、その手順を確立させることが重要です。
手順が確立していれば抜けもれなく確認出来ますし、素早く迷わず次の情報から情報へと移っていけるので時短にもなります。
いつも同じ順番で見るクセをつけましょう。
- 患者カルテを立ち上げる。患者カルテトップページ左上の患者名、年齢、性別を確認
- (トップページ右画面に)入院までの経過、主病名、その他の既往歴を確認
- (トップ画面にもどって下スクロール)点滴、内服、食事、検査予定を確認。気になるものは詳細クリック
- (経時記録画面に移り)医師SOAP記録を確認。現在の治療方針、問題点、今後の方向性など
- 並行して看護師SOAP記録を確認。少なくとも前日〜当日朝まではしっかり)
- (患者支援タブから)ゴールや目標など今後の方針(カンファ記録から)
- (必要時)リハ記録からリハ状況



マウスカーソルをどう動かすか、動線まで脳内に描けるのがベスト!
自分が理解しやすい順番、電子カルテの記載場所によって人それぞれ異なります。
自分が一番把握しやすい手順をパターン化しておきましょう!
ふだんから病棟患者情報のアンテナをはっておく
その日の受け持ち患者ではなくとも、普段から患者情報を把握しておくことも大切です。



特に重症患者、明確な問題点がある患者、手術後の患者など。
明日受け持つかも……!
新規入院患者がいれば、その日の担当ナースに聞いてみましょう。雑談レベルで構いません。
アンテナを貼って情報を得るクセをつけておくと、後々の自分に返ってくることもよくあります。
「食思不振のCさん、ストローを短くしたら栄養ジュース飲みやすそうだった」「Dさん、寝たきりの人に見えて実は意外と歩ける」など、雑談で知った情報が次の日の看護に役立つこともよくあります。
【実践】患者情報収集の手順


1.優先度の高い患者のカルテはナースステーション内でチェック
病棟看護師は、常に多重業務に追われています。
どんなときでも優先順位をつけて動いているナースがほとんどです。
受け持ち患者の情報収集においても「優先度をつける」ことが重要です。
身に染み付いている人も多いと思いますが、改めて確認しておきましょう。
- 重症度(全身状態が不安定な患者、術後患者など)
- 大きい検査や手術予定の患者
- 今日退院する患者
病棟全体のうち、入退院患者・重症者・イベントのある患者を把握します。
そのうち自分の受け持ち患者が該当していないかを確認します。
経過を詳しく知らない患者なら、この時点でサクッとバックグラウンド情報をカルテで確認しておきましょう。



たとえば術後1日目の患者がいたら、医師指示確認や点滴・内服・夜間の様子などをステーション内で情報収集してるよ。
気になる点があればすぐ夜勤者に聞きやすいです。優先度の高い患者のカルテはステーション内で一度確認することをおすすめします。
2.優先度の低めな患者のカルテは、部屋に入る直前もしくはベッドサイドでチェック
病院によっては全患者の情報をステーション内で把握した後に検温に向かうケースもあれば、検温直前もしくは検温中に情報収集するケースもあります。何か特別な事情がないかぎり、可能であれば後者の比重を多めに取りましょう。
- カルテで得た情報と実際の患者状態・ベッド周囲環境をリンクさせやすく、記憶定着しやすい
- 観察項目の確認忘れがなくなる
- 効率的で時短になる
まず、カルテから得た情報と実際に目で見た患者状態・ベッド周囲環境をリンクさせやすく、記憶定着しやすいことがメリットの一つとして挙げられます。
たとえばCさんの検温直前に「前日転倒していてセンサーマット使用開始、ポータブルトイレの位置も移動した」という情報を見た直後、実際のベッド環境を自分の目でみて照らし合わせることで覚えやすくなります。
また、その場その場でフレッシュな情報を得ることで患者の観察項目の確認忘れを防げますし、記憶が定着すれば夕方の申し送り忘れ率が減ります。
一度ステーション内で覚えた情報を呼び起こす必要もないので、時短にもつながります。



特に、2人ペアで検温ならベッドサイド確認が断然効率的!
3.医師記録は重点的に読む
医師にもよりますが、これまでの経過や現在の治療、その評価、今後の方針などがSOAP記録に端的にまとまっていることが多いです。
患者のおかれている状況を瞬時に把握できます。
最新の医師記事は必ず読むようにしましょう。



直近でICをしてたらそれも読むようにしてるよ!
4.患者のゴール(目標)の確認。不足するADLやケア、フォローすべき点まで考えるクセをつける!
看護師の役目は患者のその日の観察だけではありません。
本人(家族)が目指したいゴールや今抱えている課題は何かを把握し、必要なケアを継続して行えるよう工夫するのも看護師の大事な役割です。
カルテや病棟のシステムにもよりますが、
過去のカンファ記録や退院支援情報も確認するクセをつけておきましょう。
例1 患者Eさん:本人は自宅退院希望だが、同居家族は日中不在。排泄が課題
・尿便意の有無の確認、トイレ動作の現状を確認
・他スタッフや当事者たちと課題を検討した結果、ポータブルトイレ自力移乗が目標となる
→終日オムツ内排泄を日中だけリハビリパンツへ
→トイレ時ナースコール指導
→時間を決めて定時的に声かけしポータブルトイレに移乗する機会を増やしてみる ……etc
例2 患者Fさん:元いたサ高住に退院予定
・ADLや認知機能低下を防ぐ必要がある
→カレンダーや時計を設置してリアリティオリエンテーションを促す、食事全介助状態から自力摂取出来るようセッティングする……etc



うげ、正直そこまで気が回らない……。



忙しいと中々そこまで出来ないけど、ほんとうは大事な視点だよね。無理のない範囲で取り組んでみて。



まぁ、やらなきゃなのは分かるけど……。情報収集の時短化に関係あるのかな?



これが意外とつながっている!仕事が早いナースほど、患者さんのことよく把握してるよ。
患者のゴール(目標)を見据えたアプローチを意識することで、患者の全体像をより具体的に把握できることができます。
忙しくて頭も手も回らない日、最低限のケアを行うだけで精一杯の日のほうが多いかもしれません。
それでも、ゴールを見据えたアプローチを何度も積み重ね、試行錯誤を繰り返していきましょう。
巡り巡って、効率的に患者情報を把握するスキルがどんどん身につくはずです。
まとめ


医療現場は人間相手の仕事であり、看護の現場はどこも臨機応変かつ柔軟な対応を求められています。
出勤早々にナースコール対応する、検温が途中で中断されたなど、順番通りに進まないこともしばしばあります。
そしてまばらにカルテをみて雑に情報収集をした結果、情報把握の抜け漏れによって別の問題が起こり時間をロスすることもよくあります。
- 情報収集手順のパターンを守ること
- 忙しくても患者の全体像を把握しようと努力すること
これらが時短への近道です。
ひいては前残業をなくす近道でもありますので、ぜひ取り組んで見てくださいね。
