【現役ナースの手術体験Q&A】成熟嚢胞性奇形腫の手術の疑問・不安にお答えします。①手術前日〜術直前編

卵巣腫瘍の手術

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【現役ナースの手術体験Q&A】成熟嚢胞性奇形腫の手術の疑問・不安にお答えします。⓪手術決定〜入院前まで編
卵巣腫瘍(成熟嚢胞性奇形腫)の手術体験をした現役ナースによる、Q&A集⓪前日から術直前まで編です。

この記事では卵巣腫瘍(成熟嚢胞性奇形腫)の手術に関するQ&Aを、病棟勤務の看護師目線と実際の体験をふまえた患者目線でまとめました。

ほた
ほた

今回は①入院から術直前まで編です!

・卵巣腫瘍(成熟嚢胞性奇形腫)を医師から指摘されている方
・全身麻酔下での腹腔鏡手術を受ける予定の方

私と同じような不安・疑問・心配をお持ちの方もいるかと思います。ぜひ参考にしてみてください。

※医療処置の方法や治療方針についても、主治医の指示や方針、術式、年齢・基礎疾患の有無・病状、病院や病棟のルールなどによっても変わります。私と全く同じ経過を辿る方はいないと思いますので、あくまで参考程度にとどめて下さい。

 

Q&A

Q.術後の痛みや不安が強い!何か対策はない?

A.①深呼吸(腹式呼吸)の練習をしましょう。
たかが深呼吸されど深呼吸、です。腹式呼吸は疼痛緩和やリラックスにも効果的です。
※肺炎や無気肺(肺に空気が入らずしぼむこと)などの術後合併症の予防に、病院側からも予め指導があるかと思います。

ほた
ほた

呼吸方法に決まりはないですが、長年の吹奏楽経験とお産時の経験から、『鼻から3,4秒吸って、口からハのクチで7,8秒吐く』を意識しました。

実際、私の出産時の陣痛は深呼吸で乗り越えたと言っても過言ではありません。術後も思い出した時だけでも腹式呼吸をするだけで痛みと気分がすこしやわらぎました。(術前の検査で肺年齢18歳とかなり良かったので、他人より効果が出やすかった可能性はあります) 。

詳しいやり方は、こちらの日本医師会のページにも記載されていますので参考にしてみてください。https://www.med.or.jp/komichi/holiday/sports_02_pop.html

A.②術後のイメージを持ちましょう。
術後のボディイメージ(身体の状態がどうなるのか)、どんな症状が出てどんな辛さがあるのか、いつになったら歩けるのか等を把握しておけると良いです。どの病院でも術前に患者用クリティカルパス(術前術後のスケジュール表)が渡されると思いますので、不安や不明点があれば病院の看護師に聞いて明らかにしておくと良いです。人間は未知の体験や分からないこと自体に不安を抱く生き物です。そもそも「わからないことがわからない」状態かもしれませんので、ネットで体験記を読んでみるのもおすすめです。(ちなみに私の体験記でよければこちらに記載しています↓)

【現役ナースの手術体験記①】成熟嚢胞性奇形腫の手術レポート!前日〜手術直前まで
先日、卵巣腫瘍(成熟嚢胞性奇形腫)の切除術を受けました!全身麻酔下での腹腔鏡手術で、入院期間は6日間でした。普段は手術患者さんを看護する側ですが、患者側の体験ができて学びも多かったので、体験記として残しますね。この記事では腹腔鏡手術での卵巣...

Q.なぜヘソのゴマを取るの?

A.創部の感染予防対策です。臍部には常在菌が極めて多いため、切開創に付着し感染を起こさないよう手術前日に取ります。オリーブオイルなどの油分でふやかしてから取るので少しくすぐったいですが、痛みはほぼ感じません。ただ、看護師の手技が圧強めだと痛いと言われることもあるかもしれません。

ほた
ほた

新人の頃、一所懸命処置をしていたら患者さんに言われてしまったことがあったので…。申し訳なかったです。

Q.下剤の種類とその効果(症状)について知りたい

A.今回私はグリセリン浣腸でした。大腸全体ではなく、主に直腸〜S字結腸までの便を排泄させる目的で使用します。とはいえ初めてのグリ浣、体感的には意外と腹部全体がゴロゴロしてしっかり便出しできたような気がしました。痛みはそんなにないですがお腹が下るので気分は良くはなかったです。血圧が下がることもあるので、立位時のふらつきや気分不快の出現に要注意です。
ネットの他の方の体験記によると、同じ卵巣腫瘍摘出術(腹腔鏡手術)でも、大腸カメラや大腸の手術時に用いる腸管洗浄液(ニフレックやモビプレップ、マグコロールなど)を前日夜か当日朝に服用した方もいるようです。
これらは2L飲み干して腸内がすっからかんになるまで水様便を出します。腸がゴロゴロ動き繰り返し水様便を出すことになるので、腹を下した時の辛さ、肛門痛、脱水気味による気分不快を訴える方もいます。(大腸検査よりもこの処置の方が辛かったと言われる方もいました)

Q.麻酔が入ってくる時って痛い?

A.結論、痛くはなかったです。私の場合3種類の麻酔薬を使用しており、そのうち1剤(プロポフォールという鎮静薬)が注入痛があるそうなのですが、先に注入してあった別の麻酔薬のおかげでほぼ痛みは感じませんでした。

Q.全身麻酔が効くと、痛みは全く感じないの?

A.感じません。手術に麻酔薬を入れる際も痛みはなかったです。麻酔後、初回の痛みを感じたときには既に病室でした。
2025年4月の段階では、全身麻酔薬として複数の薬(主に鎮静薬、鎮痛剤、筋弛緩剤の3種類)を使用するのが一般的です。鎮静薬(プロポフォール等)の効果で意識を失うので、その間は全く痛みを感じません。(呼吸も止まるので、気管内に挿管して人工呼吸器で呼吸管理をします)。

全身麻酔について、詳しくはこちらの記事でも記載しています。

Q.喉に管を入れる時、抜く時は痛くなかった?

A.痛みも違和感も感じませんでした。
全身麻酔下では呼吸も止まるため、人工呼吸器を装着するために気管内に管を入れます。それを気管内挿管、抜くことを抜管と言います。
挿管時は既に意識がない状態なので、私が心配していたのは抜管時です。全身麻酔薬のプロポフォールを切って意識が戻り、受け答えができること(自発呼吸があること)を確認したあとに抜管されますが、喉元を何かが抜けたな〜くらいの感覚でした。意識もかなりぼんやりしている状態なので、苦痛症状を感じる可能性は少ないと思います。だだ、術後は喉のイガイガ感と嗄声(掠れ声)があり、それが辛かったです。詳しくは体験記②にまた記載しますね。

まとめ

卵巣腫瘍摘出術の手術や入院前について、私自身が不安・疑問に思ったことを中心にQ&Aでまとめてみました。一番気になる術後の様子については、次の記事で紹介しますね。
みなさまの不安・疑問・心配事が少しでも解決されれば幸いです!

ここまでお読みいただきありがとうございました。

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