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この記事では卵巣腫瘍(成熟嚢胞性奇形腫)の手術に関するQ&Aを、病棟勤務の看護師目線と実際の体験をふまえた患者目線でまとめました。

今回は③手術翌朝から退院まで編です!
・全身麻酔下での腹腔鏡手術を受ける予定の方}
私と同じような不安・疑問・心配をお持ちの方もいるかと思います。ぜひ参考にしてみてください。
※医療処置の方法や治療方針についても、主治医の指示や方針、術式、年齢・基礎疾患の有無・病状、病院や病棟のルールなどによっても変わります。また症状の有無や痛みの程度も、当然ですが個人差があります。私と全く同じ経過を辿る方はいないと思いますので、あくまで参考程度にとどめて下さい。
手術翌朝から退院までの手術体験記はこちらです。合わせてチェックしてみてくださいね。

Q&A
Q.傷跡はどんなものか?
A.腹腔鏡手術の創部は、1~1.5cm程度の切り口が下腹部三か所にあります。
術後1か月では元が大した傷ではないのでちょっと薄くなったかな?という程度の変化でした。一見ひっかき傷ですので、自分でも忘れるくらいほとんど気にならないです。
Q.手術後におなら(ガス)の確認をされるのはなぜ?
A.腸の蠕動運動が再開されたのを確認するためです。腹腔鏡手術によって消化管(胃や腸)の動きは一時的に低下するのですが、低下が回復せず『術後の合併症である麻痺性イレウスや腸閉塞などに移行していないか?』を、医療者は確認しています。おならや便が少しずつ出始めるのが、腸が正常に動き始めたサインになりますので、術後は何度か聞かれると思います。
※麻痺性イレウス……腸管の動きが器質的に鈍り、内容物が輸送されない状態
※腸閉塞……術後に腸が癒着して通過障害が起こること
症状の特徴に、腹痛・嘔吐・腹部膨満感などがあります。

上記の症状はイレウスや腸閉塞ではなくても出現します……が、もし術後に悪化するようならイレウスや腸閉塞の可能性も出てきます。早めに看護師に伝えてくださいね。
Q.いつからシャワーに入れた?
A.私は術後2日目から入れました。臨床的には創部の状態が問題なければ許可が出ることが多いです。実際私も『傷の治りもよさそうだし、今日からシャワーOKだよ』と主治医に言われました。
Q.手術後の点滴はいつまで続いた?
A.私の場合は、手術翌日の夕方で終わりました。左の手背に入っており刺入部が痛かったのでなるべく早く点滴を終えたくて交渉しました。(実際の流れやコツは長くなるので下記に記述します)
Q.術後の飲水やご飯はいつから?
A.術後1日目の朝6時半に初飲水、問題なかったので昼から食事再開でした。
Q.食事形態はどんなふうに変わっていく?
A.術後1日目 昼夕:重湯
術後2日目 朝昼:3分粥、夕:5分粥
術後3日目 朝:全粥、昼:ご飯(常食にもどった)

思ったよりも早いスパンで進んでいきました。
胃腸はまだ調子が戻っていないと思いますので、腹痛や消化不良を避けるためにもよ~く咀嚼して食べてくださいね。
Q.手術で取った腫瘍の生検結果(病理診断の結果)はいつわかる?
A.大体1~2週間で分かることが多いです。退院後次回外来受診日(私は13日後でした)には結果がわかっているはずなので、主治医から結果と今後の方針が聞けると思います。

生検とは、生きた人間の組織や細胞から採取したもの(検体)を染色して、顕微鏡などを用いて検査を行うことです。病気の確定診断に使用されます。
点滴、できれば早めに終わってほしい!どうしたらいい?
※臨床現場によっては医師が多めに点滴オーダーを出している場合もあるので記載しましたが、術後点滴は身体の回復に必要なものなので、医療者から「必要」と言われたらその指示に従ってくださいね。あくまで個人的な意見ですので、さらっと流してください。
②様子を見にきてくれた主治医に、どうなったら点滴が終わるかを聞く(重湯が食べれるようになったら、食事をぜんぶ食べてもお腹の調子が良ければ、⚪︎日までは、などの目安を教えてくれるはずです)
③15時か16時くらいまでに看護師に交渉する
が、一番スムーズな流れのように感じました。
理由①手術後は医師が点滴オーダーを多めに入力されてる場合がある。
これは職場のルールやシステム、主治医の方針・性格にもよって変わります。特に消化器官に影響の出る手術の場合、回復度(食事がしっかり食べれるか、食後問題はないか)が医師の予測と違ったりと予測が難しいところがあります。

実際私の勤めている病院でも、整形外科の手術の患者さんは点滴は術式によって大体ルーチンで決まっている事が多いですが、消化器系の手術の方は自覚症状や食事摂取状況をみた主治医の判断で都度点滴内容が変わっています。
理由➁看護師は医師の中止指示がない限り、オーダーされている点滴を施行する義務がある。
患者が「先生がご飯全部食べれたら点滴しなくていいって言ってた」と訴えても、「食事が全量摂取出来ていれば中止可能」など、看護師に向けて直接明確な指示がなければ止めることが出来ません。看護師は一度、主治医に確認する必要があるわけです。
理由③夕方になってくると日勤から夜勤の申し送りなどでバタつく病棟が多い
看護師は優先順位をつけて行動するため、重要でないことは後回しになることがたりすることそのやりとりはできれば夕方前に出来た方がスムーズです。

医師に中々連絡が繋がらなかったり、夕方は看護師がばたつく病棟が多いので後回しにされたりするかも……。
ちなみに私は点滴部位に痛みがあったので、『手数だけど今日分の点滴が終わったら一旦抜針してほしい。もし明日も点滴があるなら入れ直してほしい』と伝えめしたが、かなりアリだと思います。私が看護師の立場ならなら『この患者さんの明日点滴の針を入れ直すことを考えたら明日分中止可能か早めに指示確認しておこう……』と考えます。
(実際、術後1日目の昼過ぎに『朝主治医は食事が食べれたら点滴終了可と言っていたが、昼食は完食したし夕飯も食べれそうので、今繋がってる点滴で終了出来ないか先生に聞いてほしい』と看護師に伝えましたが、その後何のアクションもなかったです。夕方に別の看護師に、『(上記にプラスして)、もうすぐ点滴が終わりそうだし、痛いから終わったら抜いてほしい。明日点滴があるならお手数だけど入れ直して…』と伝えたところすぐ先生に確認して下さり、『夕飯全部食べれたら明日の点滴無し』と教えてもらえたので、夕飯をしっかり食べ点滴抜針しスッキリしました。

患者が頼んだことを看護師が忘れるのも良くないのですが、ぶっちゃけ私も若手の頃は忙殺され忘れがちであとで患者さんに謝ったりもしていたので、忘れてしまう気持ちはわかります……。
まとめ
卵巣腫瘍摘出術の手術翌朝から退院まで、私自身が不安・疑問に思ったことを中心にQ&Aでまとめてみました。
すこしでもみなさまの不安・疑問・心配事が解消されて手術に臨む手助けが出来れば嬉しいです!ここまでお読みいただきありがとうございました。
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