【現役ナースの手術体験記①】成熟嚢胞性奇形腫の手術レポート!前日〜手術直前まで

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卵巣腫瘍の手術

先日、卵巣腫瘍(成熟嚢胞性奇形腫)の切除術を受けました!全身麻酔下での腹腔鏡手術で、入院期間は6日間でした。

普段は手術患者さんを看護する側ですが、患者側の体験ができて学びも多かったので、体験記として残しますね。

 

この記事では腹腔鏡手術での卵巣腫瘍摘出術の手術前日から当日手術室に入るまでを、病棟勤務の看護師目線&体験した患者目線でレポートします!

・手術前の流れが知りたい
・腹腔鏡手術や全身麻酔に対する漠然とした不安を減らしたい
・術前、どんな処置や辛さがあるのか知っておきたい
・なるべく痛みや苦痛がなく過ごしたい

そんな方はぜひ参考にしてみてください。

ほた
ほた

卵巣腫瘍摘出でなくても、全身麻酔下で腹腔鏡手術を受ける方も体験談の一つとして参考になる部分もあるかと思います。

※看護処置や症状の程度や有無などは、年齢や腫瘍の大きさ、基礎疾患の有無、手術内容によって変わるかと思います。ひとつの例として参考になれば幸いです。

DATE

・卵巣腫瘍摘出術(腹腔鏡手術)
・右卵巣に8-9cm大の腫瘍を指摘されていた

MRIや採血の結果、おそらく良性腫瘍である成熟嚢胞性奇形腫では?とのこと。
※良性か悪性かは手術して生検(生体組織診断)に出して初めて診断出来ます。

良性腫瘍の場合すぐには大きくなりませんが、卵巣腫瘍は5cmを超えると茎捻転を起こすリスクがあるため切除手術を勧められます。茎捻転を起こすと激痛、即救急車で緊急開腹手術だそうです。そんな爆弾を抱えているのも嫌でしたし、あまり大きくなると開腹手術になってしまい、入院期間も長引き傷の治りも遅く痛みも強いため、腹腔鏡手術でやれるうちに…とサクッと手術をお願いしました。

実際のスケジュール

4/20(日)13時 入院
4/21(月)8時半 手術 13時頃終了
4/22(火)術後1日目。午前中に安静解除(トイレ歩行許可あり)。朝 重湯から食事再開
4/23(水)術後2日目。朝昼 3分粥、夜 5分粥
4/24(木)術後3日目。朝 全粥、昼には常食へ
4/25(金)術後4日目。9時半診察、11時退院

手術自体は1.5ー2.5時間の予定でした。
さらに術前に全身麻酔をかけるのに30分、手術終了後に麻酔を切って自発呼吸の再開を確認し気管内挿管を抜管するのに30分かかります。

ほた
ほた

総手術時間はおおむね3-4時間を見ておけば良いかと思います。

※私の場合はトラブルがありさらに1,2時間かかりました。

手術前日(入院日)

受けた処置、つらかったこと

・医師の内診
・臍処置(ヘソのゴマ取り)
・両ソケイ部の剃毛
・眠前に浣腸
・21時から絶飲食。術前点滴はなく、OS-1(500ml)を翌朝6時半までに少しずつ飲み切るよう指示あり
結論から言うと、手術前日は浣腸がちょっとしんどいくらいで大きな苦痛を伴う処置は特にありませんでした。ただ、主治医の指示によっては前日に2Lの腸管洗浄剤(下剤みたいなもの)を飲み干す場合があると思いますので、それがしんどい可能性はあります。私はグリセリン浣腸(60ml)だけで済んだのでラッキーでした。

医師の内診

妊婦健診の時や外来での内診(エコー、触診)と一緒です。異物感はありますが痛みや苦痛感は少なかったです。
ちなみに私が内診時に痛みを減らすために意識しているのは、『目は開けたまま』『鼻から吸って口からゆっくり息を吐く』『下半身の力を抜く』ことです。

ほた
ほた

身体の力が抜けて、リラックスしやすくなります。

目は閉じると視覚情報が減る分シモの感覚が研ぎ澄まされてしまう気がするので開けています。笑 内診が苦手な方は、良ければ意識してみてください。

臍処置(ヘソのゴマ取り)

オリーブオイルでふやかしてから取るので痛みはなく、少しくすぐったい程度でした。

両ソケイ部の剃毛

毛剃り自体は「剃られてるな〜」くらいの感覚でしたが、毛が下着やズボンに散らばってチクチクして地味に痛かったです。
⭐︎詳しくは後述

眠前に浣腸

眠前に浣腸処置がありました。浣腸自体は違和感程度でしたが、すぐお腹が下りそうな感覚に襲われました。浣腸液がすぐ出てしまわないようトイレを我慢するのが大変でした。
⭐︎詳しくは後述

一連の流れ

13:00 病棟へ入院

・個室希望でしたが空いておらず大部屋でした。オーバーテーブルがなくてびっくりしましたが、床頭台(ベットの横の台)には大抵スライド式の引き出す棚がついているので、そこに色々小物を載せたりご飯のお膳を乗せて食べていました。
ゴミ袋をベッド柵に結んで設置すると便利なのでオススメです。
・TVや冷蔵庫はついていても別料金の場合が多いです。(以前の勤務病院では、TV冷蔵庫兼用の専用カードを売店で先に購入するシステムでしたので、知らずに入院した人の中には売店が閉まっていて初日から使えない人もいました)。TVや冷蔵庫を使用する場合、料金と使用開始方法を予め確認しておくと良いです。

13:45 内診 剃毛 臍処置

医師による内診後、同じ内診台にて看護師によるソケイ部剃毛、臍処置(ヘソのゴマ取り)をされました。
ソケイ部を電動カミソリで剃毛されましたが、刈った毛がパンツとズボンにたくさんついてチクチクして痛かったです。パンツは諦めて履き替えて、ズボンは部屋で毛をパンパン払い落とせばなんとか履けました。

14:30 シャワー

シャワー室を予約したので、毛剃り部分の毛を落としてシャワーで綺麗にしました。

18:00 夕飯

基礎疾患もないので常食でした。翌朝から絶食、手術後は重湯から3分粥、5分粥、全粥と1日ずつ食上げしていくので、次に常食が食べられるのは4,5日後になります。

20:00 グリセリン浣腸

身体を左側臥位にして、肛門部から浣腸液を入れます。入れ始めると痛みよりも違和感、入れ終わる頃にはお腹を下しそうな感覚に襲われました。薬液を浸透させるため3-5分は排泄せず我慢するように指導されますが、入れ終わった直後から出したい……。お腹のぐるぐるのと、『もし漏らしたら』という社会的羞恥との闘いでした。幸いなことに浣腸を注入する部屋はトイレがすぐ横にある個室でしたので、注入後すぐ便座に座れるよう立って我慢していました。
ただ、時計を見てましたが頑張っても3分も持ちませんでした(記録2分半)。お腹を下した時の感じで、その後も2回トイレにいきました。

21:00 絶飲食開始 OS-1飲み始める

点滴がわりにOS-1(500ml)を翌朝6:30までにちびちび飲み始めます。それ以外の飲食は禁止です。新発売のアップル味を渡されたので、ジュースみたいでかなり飲みやすかったです。
術前点滴がなくOS-1を飲むだけで済んだのはかなり楽でした。

ほた
ほた

点滴に繋がれたまま寝るのって地味にストレスなので、しなくて済んだのはありがたかったです。

手術日

受けた処置、つらかったこと

・6:30までにOS-1を飲み切る
・手術衣に着替えて弾性ストッキングを履く
・手術室へ歩いて出棟
・手術室前で確認(名前、生年月日、手術部位わ手術目的等、身体の付属物がないかの確認など)
・手術室に入り手術台に横になる
・点滴ルート留置、補液開始
・全身麻酔薬の流入開始
流石に緊張はしましたが、点滴留置以外は辛いことはありませんでした。点滴も緊張してアドレナリンが出てたからか、そんなに痛みを感じませんでした。
正直、全身麻酔の場合手術中は寝てるので何も辛くないです。よく「手術がんばってね」と応援されますが手術を頑張るのは医師です。我々患者ががんばるのは術直後から翌朝までと思っておけばいいです。もっと言えば、何もしなくても時は過ぎるのでがんばらなくていいです。
ほた
ほた

我々は所詮まな板の上のコイなので、術前は主治医を信じて気楽に行きましょう。笑

一連の流れ

6:30 OS-1終了、2回目のグリセリン浣腸

OS-1を一晩かけて飲み終わりました。看護師に検査室まで連れて行かれて2回目のグリセリン浣腸でしたが、今回は体感記録2分。3分が目標でしたが無理でした。

8:00 手術衣に着替え、弾性ストッキング装着

オペ着は胸元がはだけるし薄くて寒かったです(はだけやすくする為ボタンだらけのペラペラな着物なので、当然なのですが)。弾性ストッキングは前日にサイズを測って貰っていたので自分で履きましたが、締め付けは意外とキツくなかったです。とはいえ履くのにコツがいるので、慣れない方は看護師に履かせてもらうと良いです。

8:30 手術室に歩いて入室

病棟の看護師さんに付き添ってもらいながら病棟から出棟。手術室に歩いて入室(ウォークイン)しました。頭に緑のオペ用帽子を被せられ、名前と生年月日、今回の手術目的と手術部位などを聞かれて答えます。手術室内は手術台は自分で乗りました。かなり狭いですがフカフカしていました。※術中は長時間同一姿勢を取る為、皮膚トラブル発生予防のためフカフカになっています。

麻酔科の先生、執刀医である入院中の主治医の先生から挨拶があったあと、麻酔科の先生に点滴をとってもらいました。

その後、点滴部位から全身麻酔薬注入開始。麻酔にはマスクから気体として吸うものと、点滴から流入させるものがあります。私は点滴からでした。

✏️全身麻酔薬について詳しく
2025年現在では複数(3種類程度がベース)の麻酔薬を少しずつ使うことで、副作用を予防しながら鎮痛・鎮静・不動を得るのが一般的です。私に使われたのは『プロポフォール(鎮静剤)、レミフェンタニル(鎮痛剤)、ロクロニウム(筋弛緩薬)』でした。意識が飛ぶのはプロポフォールです。(呼吸も止まる為、気管内挿管されて人工呼吸器が装着されます)

先にレミフェンタニルとロクロニウムが入り始めます。麻酔科医に「7割くらい入ったよ」と言われた頃から体全体が熱く意識もぼーっとなりました。そして「今から眠る薬(プロポフォール)入るよ」と言われてすぐ、3秒ほどで意識がフェードアウトしました。
※プロポフォールは注入痛がありますが、フェンタが効き始めていたからかそこまで痛くなかったです。

術直後

手術中はふんわりとした長い夢を見ていました。
次に目覚めた時には手術が終わって手術台の上でした。
ここから先はまた別の記事でまとめますね。

 

覚えておくといいこと

術前の処置はそこまで苦痛ではない。(※腸管洗浄処置や術前点滴の有無によっては変わる可能性あり)
・内診時は下半身を脱力して腹式呼吸(深呼吸)
・術後の疼痛緩和や無気肺予防に備えて、腹式呼吸(深呼吸)の練習をしておく
・グリセリン浣腸を受ける場合は、すぐトイレに行けるように手すりに掴まり便座の前に立ってスタンバイする。座るとすぐ出そうになるので、下着を降ろして手すりにつかまってすぐ座れるようにだけしておくとgood

まとめ

卵巣腫瘍摘出術(腹腔鏡手術)の術前から手術開始前まで、全体の流れや処置・苦痛症状の有無とその程度についてまとめました。
手術は誰でも不安になりますし、知らないことだらけだと恐怖や不安がいっそう強くなります。今回の体験レポートを読んで術前に全体のイメージを持つことで、みなさまの不安が少しでも軽減されれば嬉しいです。

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