現役ナースの卵巣腫瘍摘出術レポ②手術直後〜翌朝まで

卵巣腫瘍の手術

前回の記事はこちら

現役ナースの卵巣腫瘍摘出術レポ①手術前
先日、卵巣腫瘍(成熟嚢胞性奇形腫)の切除術を受けました!全身麻酔下での腹腔鏡手術で、入院期間は6日間でした。普段は手術患者さんを看護する側ですが、患者側の体験ができて学びも多かったので、体験記として残しますね。この記事では腹腔鏡手術での卵巣...

この記事では手術直後から翌朝までの様子を、体験した患者目線&現役ナース目線でレポートします!

・どんな苦痛があるのか知っておきたい
・なるべく痛みや苦痛がなく過ごしたい
・手術後から翌朝までの流れが知りたい

そんな方はぜひ参考にしてみてください。

ほた
ほた

術直後から翌朝までが一番しんどかったです!

※看護処置や症状の程度や有無などは、年齢や腫瘍の大きさ、基礎疾患の有無、手術内容、主治医の指示・治療方針などによって変わるかと思います。また症状の有無や痛みの程度も、当然ですが個人差があります。あくまでひとつの例として皆様の参考になれば幸いです。

全体の流れ

8:30 手術室に入室
13:00頃 手術が終了
13:30頃 病室に帰室
※寝返りのみOK、起き上がりNG、枕NG
0:00 頭の下の枕を入れてもらう
6:30 電動ベッドでギャッジアップOK
9:00 主治医の先生がきてIC

※手術のトータルの時間は3-4時間(手技に1.5-2.5時間、その前後に麻酔をかけたり切ったりするのに30分ずつ)の予定でしたが、トラブルがあり長引いたそうです。

※私は朝イチの手術でしたが、安静解除は翌朝でした。

ほた
ほた

昼過ぎには終わったので、安静時間がとにかく長かったです……。

全身状態

身体に付属していたもの

・左手に点滴
・指先にSPO2モニター(サチュレーション)
・前胸部に心電図モニター(3箇所)
・尿管(尿道カテーテル)
・両足にフットポンプ(安静による静脈血栓予防)

辛かった症状とその対処法

痰絡み

気管内挿管の影響で、とにかく痰が絡みました。腹圧かけて出そうと咳払いすると傷に響いて痛かったので、身体を横に向けてから咳払いするのが良かったです(咳払いした時に仰向けのままだと、腹圧が必要以上にかかる割にあまり痰を出せなかったため)。
ティッシュとゴミ箱を近くにセットしてもらうと便利でした。

寒気

肩など少しでも出ていると寒くて気になりました。手術から目覚めたあと夫に肩の上まで布団がくるようにするなど掛け物調整してもらいました。夫のいる間は、寝返りを打つたびに布団のなかに首から下がこんもりとおさまるよう直してもらいました。

肩痛

術中は砕石位という両足を開いて挙上する姿勢をとるため、頭~肩に負担がかかります。そのせいか、目覚めてすぐはとにかく肩が痛かったです。特になにも対処しなかった結果、一晩中地味に痛かったので、痛み止めの点滴や湿布が貼れないか看護師に確認してもよかったとあとで後悔しました。

恥骨部痛、腰痛

これも手術中の長時間の同一姿勢の影響と思います。クッションを使って身体の隙間を埋めるよう体位調整してもらうと楽になりました。恥骨部痛は覚醒後2,3時間で収まりましたが、腰痛はしばらく続きました。

吐き気

術直後に出現しましたが、吐き気止めの点滴をしてもらった後はかなり減りました。少しでも吐き気を感じたら吐き気止めを看護師に頼むと良いです。大体プリンペランを点滴部位からワンショット(数ミリの薬液をチュッと注入する)現場が多いと思いますが、私には効きが良く楽になりました。

覚えておくといいこと

とにかく深呼吸(腹式呼吸)をゆっくり行う!

深い呼吸は精神の安定、痛みの軽減、入眠促進、また酸素が回ることで傷ついた内臓の回復促進にも繋がるなど……一石五鳥くらいあります。術後は深呼吸に一本集中!くらいの気持ちでいると良いです。

痛み止め、吐き気止めなどは遠慮せず頼む

創部はそれほど痛みませんでしたが、恥骨痛、腰痛、肩痛が結構強かったです。ただ我慢できなくはなかったので痛み止めを全く使いませんでしたが……。

ほた
ほた

結局、痛みが気になってほぼ徹夜だったので、看護師に痛み止めを頼めばよかったです。

ちなみに痛み止めや吐き気止めなどは使用間隔を開ける必要のあるものがほとんどです。もし使用のタイミングを迷うなら眠前に飲めるようタイミングを合わせるのもアリです。寝る前に苦痛症状を取れば、グッと寝ることも出来るかもしれません。ただ手術患者に関しては、職場で術後患者を看ていても結局あまり寝れない人がほとんどです。結論、自分の使って欲しいタイミングで全然いいと思います。

※術直後は翌朝まで飲水できないので、硬膜外麻酔が入っていない場合、鎮痛薬の第一選択は点滴(アセリオなど)です。メイン点滴の側管から(アセリオの場合は15分程度で)投与するので痛みはありません。
※私は硬膜外麻酔は使用しませんでした。

実際の流れ

?:?? 手術室にて

ほたさん〜終わりましたよー、といわれぼんやりと目を開ける。
「僕の名前わかる?」
「△△先生」
「あたり〜」
というやり取りの直後、スルッと喉元から何かが抜けていきました。
あ、いまのって抜管?というくらいに何の違和感も苦痛もなし。

ほた
ほた

気管内挿管と抜管が地味に怖かったのですが、いい意味でなんの体感もできず終わりました。笑

その直後すぐ寝落ち。

13:30 2回目の覚醒

気づいたら病室にいて、夫が側にいました。記憶が朧ですが、交わした会話は「腫瘍が大きめで、時間が結構かかったと先生から言われた」「へー。それより寒いから布団かけて」だけだったと思います。

この時の症状

・とにかく寒くて肩など少しでも出てると寒い。夫に掛け物調整してもらう。
・恥骨、腰痛がひどい。
・肩も痛い。

14:30 3回目の覚醒

変わらず恥骨部痛と腰痛あり、夫に体位変換をしてもらいました。
吐き気がうっすらあり、ひどくなりそうな予感がしたので吐き気止めを看護師にお願いしました。プリンペランをワンショットで点滴注入され、しばらくすると楽になり、またすぐ寝落ち。

この時の症状

・恥骨部痛>腰痛>肩痛
・腹部膨満感と違和感
・痰絡みと喉のイガイガ感
・時折吐き気→吐き気止めの点滴で軽減

このころから深呼吸(腹式呼吸)が意外と全身の苦痛症状効きそうだったので、思い出した時に何度か繰り返していました。

16:00-翌4:00 明け方まで寝れず

術後にはじめてしっかりと覚醒したのが16時頃でした(手術が終わって3時間後)。
腰痛、肩痛は続いていたので、ちょっとずつ寝返りしてやり過ごしました。ベット環境も手伝ってもらいながら整えました。

・ベッド内の余計な荷物は退けてもらう
・スマホは手元に配置、充電ケーブル挿しっぱなしで
・ティッシュとゴミ箱は近くにセット

寝返りの許可はありましたが、ルート類が絡まりすぎて寝返りがしづらかったです。特に心電図モニターのケーブル、SPO2モニターのケーブル、点滴ルートが絡まりやすかったです。

ほた
ほた

私も仕事中はきちんとルート整理を行うよう心がけていますが、ルートが絡まると患者はこんなにストレスだったのか、と身をもって体験しました…。

また、尿管の固定テープの位置があまりゆとりをもって貼られていなかったため寝返りをするたびに引っ張られてちょっと痛かったです。汗ではがれたのもあり、看護師に張り替えてもらってすこし楽になりました。

0時頃、枕を入れる許可がなかったため肩が痛いままでしたが、ようやく枕を入れて貰い楽になりました。

この時の症状

・腰痛>肩痛。恥骨部痛は消灯前には軽減
・軽い吐き気
・寝返りするときに尿管が引っ張られてちょっと気になる
・痰を出すのに咳込むと創部に響いて痛い
・何もしなければ創部痛はほぼ気にならない

主に腰痛肩痛痰絡みのせいでほぼ寝れず、4時〜5時半頃に少し寝れた程度でした。

6:30 うがい、少しだけ飲水。

夜勤看護師が来てバイタル測定、肺音と腸音聴診、創部聴診腸蠕動音は弱いらしく、ガスはまだ出ず。
ベッドギャッジアップ30度にしてもらい、腰がかなり楽に。自由にギャッジして良いと聞きとりあえず一安心でした。安静解除は午前中に日勤者が行うらしいので、まだ数時間先です。

8:00 喉の痛み、痰絡みが気になる。

左奥がちょいと痛くてザラついて咳がでました。一度気にしたら咳が連続で出て腹に力入って辛いので、なるべく喉に意識を向けないよう気にせず過ごしました。

8:45 午前の検温

日勤の担当看護師が来て、心電図モニター、SPO2モニタリング中止。バイタル測定、肺音聴取、創部確認をされました。
腸がぐるぐると動き始めました。夜寝てなかったからか、頭がぼーっとしていました。

9:00 IC

主治医の先生(メインの執刀医)が来室され、体調の確認や手術後のIC(病状説明)が口頭でありました。
以下その内容です。

・当初の目的(卵巣腫瘍のみを摘出)は達成
・卵巣腫瘍は拳大と大きめだった。卵巣の薄い膜少し傷つけたけど洗って吸引してきている。
・術中に起こったトラブルについて説明
・性器出血や術後の創部出血がないか今後確認していく
・吐き気はなぜ起こるのか聞くと、麻酔の影響、気腹で腸を圧迫する影響、頭が下がる体になる影響(腸を頭位に持って行って手術しやすくする)からくるものと考えられるとのこと

ちなみに主治医の先生は毎日来てくれたのでちょっとうれしかったです。笑

10:40 安静解除、離床、尿管抜去

日勤の看護師が2人来て、ふっとポンプ中止。点滴と尿管に繋がれたまま端座位(ベッドに腰をかける体勢)になる。そのまま立位→トイレの便座に座ってみました。

この際看護師が観察していることは

・安静臥床による筋力低下や血圧変化によるめまい、ふらつき、気分不快がないか
・深部静脈血栓症の症状(下肢の変色や浮腫や痛み、呼吸苦や胸痛)がないか

なので、このような症状があれば看護師に伝えてくださいね。

トイレまでゆっくりでしたが歩けたので、尿管抜去。抜去時は一瞬痛みがあった程度でつらくなかったです。性器出血、古い血性のものがありましたが、数日は続くとのことでした。新鮮血や量が増加したら要注意です。

この時の症状

・腰痛と肩痛(やや軽減)
・歩行時に軽い腹部違和感
・座位時に軽い腹部鈍痛
・性器出血
・ガスが出そうで出ない。

その後個室に移動し、身体の清拭と着替えをしてもらいました。(新人さんにしてもらったのでとても初々しかったです笑)

ほた
ほた

この時点で繋がれているルート類は左腕の点滴のみ。かなり楽になりました。

まとめ

卵巣腫瘍摘出術(腹腔鏡手術)の術直後から翌朝の安静解除まで、全体の流れや辛かったこととその対処法、覚えておくとよいことをまとめました。
手術直後から翌朝まで、身体全体のイメージや症状のイメージはつきましたでしょうか?安静解除までが、手術患者の一番のふんばりどころです。痛みや吐き気などの苦痛症状は遠慮されずぜひ担当の看護師に相談してくださいね。

補足のQ&Aはこちらから

【手術体験Q&A】卵巣腫瘍を取った!②術直後〜翌朝まで
卵巣腫瘍(成熟嚢胞性奇形腫)の手術体験をした現役ナースによる、Q&A集②術直後〜翌朝まで編です。

続きの記事はこちらです。

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卵巣腫瘍(成熟嚢胞性奇形腫)の手術を受けた現役ナースによる体験記③手術翌朝〜退院まで編です

 

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