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この記事では手術翌朝から退院までの様子を、体験した患者目線&現役ナース目線でレポートします!
・なるべく痛みや苦痛がなく過ごしたい
・手術翌朝から退院までの流れが知りたい
そんな方はぜひ参考にしてみてください。

安静が終われば一安心。
胃腸はまだ不調なので、労わりながらゆっくり過ごしました。
※看護処置や症状の程度や有無などは、年齢や腫瘍の大きさ、基礎疾患の有無、手術内容、主治医の指示・治療方針などによって変わるかと思います。また症状の有無や痛みの程度も、当然ですが個人差があります。あくまでひとつの例として皆様の参考になれば幸いです。
術後1日目
気をつけると良いこと
・ベッドを背もたれ20度くらいにギャッジアップして膝を軽く立てると、腹圧がかかりすぎずにおならが出しやすい体勢になります。食後、お腹がぐるぐる言い始めたときは試してみてください。
・寝る前は(痛みが軽くても)痛み止めを貰っておくと眠りやすい。日中や夕方に看護師さんに伝えて貰っておくと良いです。
安静解除時の症状
喉の痛み、痰絡み、腹部膨満感と腹圧時の鈍痛です。
気になる症状はほぼ胃腸に関わるものでした。

それまでひどかった腰痛や肩痛は、動けるようになったからか楽になりました!創部の痛みもほとんど感じません。
看護師さんに腸の音は弱いと言われたけど、聴診の後からお腹ぐるぐる動き始めていたのでそのうちおならが出そうな感じでした。
電動リモコンを操作してベッドの背もたれを上げて起き上がりました(ベッドのギャッジアップ、と言います)。ギャッジアップ時、腹圧かかって左下腹部が結構痛かったです。ベットは頭20℃足16℃ギャッジがいい感じでした。
実際の流れ
10:40 安静解除(前記事参照)
端坐位から立位、トイレまで歩行ができたので、尿管を抜いてもらいました。温かいタオルで全身を清拭してもらい、パジャマも着替えさせてもらいました。
この時点で身体に付随するものは左手背にはいっている点滴のみです。大分すっきりしました。
12:00 初回おなら
初回のおならが少しありましたが、出す時に腹痛がありました。(腸が動いたから?)
12:20 昼飯 重湯と野菜スープ
術後、初めての食事です。食べていると微かなゲップが少しずつ出ました。食べている最中からお腹もグルグル。胃袋までは元気なはずなのですが、重湯すらちょっとずつじゃないと飲めませんでした。

下腹部に負担感があり、おならを出したい感じになりました
ちなみに帝王切開で出産した友達が『尿管抜去後の初回の排尿時は超~染みて痛いよ!』と言っていたのですが、初回の排尿も何のトラブルもなくてよかったです。
13:10 2回目のおなら
2回目のおならが少しありましたが、1回目よりは腹痛がなくて安堵しました。
13:40 午後の検温
検温のあと、排尿のためトイレに行きました。トイレへ行くのに、点滴棒につかまりながらそろりそろりと歩いていました。
14:00 3回目のおなら
腹痛が伴いましたが、2回目よりも多めに出たのでヨシ!です。

さて、ここにきて左手背の点滴刺入部の痛みが気になってきました。
今日分の点滴が終わったら明日分の点滴のため一度ロック(刺入部は残したまま)にすると言われたので、看護師さんに「主治医が朝、『ご飯が食べれたら点滴中止してもいいよ』と仰っていたので、中止にならないか聞いて欲しい」と交渉しました。
16:00 再交渉
点滴の件のお返事が来ないので、別の看護師が来室したタイミングで再度聞いてもらうようお願いしました。

追加して『もし明日も点滴が必要でも、今日分が終わったら一度抜いて、明日また入れ直して欲しい』と頼みました。痛かったので…
18:00 夕飯 重湯とコーンスープ 点滴抜針
『ご飯全部食べれたら点滴中止』の許可がもらえたと看護師から聞き、がんばって夕食を全量摂取したあとに抜針しました。左手背に点滴が入っていましたが、動かしづらかったため軽~い拘縮状態になっていました。手首から先が固まっていたので、点滴が早く抜けてよかったです。
食事のたびにゲップとおならが少しずつあり、腹部の空気がちょっとずつ抜けていく感じがします。朝よりもマシなりましたが、まだ膨満感と違和感強いです。
19:30 排尿。点滴中は1.5-3時間ごとにトイレに行っていました
20:00 おならあり、以降定期的に少しずつ出るようになります。
21:00 腰と肩と腹の痛みが少し気になるので寝る前に念の為痛み止め(カロナール)をもらいました。

痛み止め飲むほどの痛みではなかったですが、寝る前に痛み止めを飲んで寝ると眠りやすかったです。十分な睡眠、良質な睡眠は身体の早期回復にもつながります!
術後2日目
気をつけると良いこと
・よく噛んでから飲み込む
・ゆっくり食べる
・熱いものや冷たいものはある程度常温になってから食べる
症状
昨日とほぼ同じですが、喉の痛み・痰絡みは減ってきました。腹部膨満感と腹圧時の鈍痛、食事時に腸がグルグル動くのは変わらずですが、少しずつ楽になってきている感じです。

あと、2日遅れで全身の筋肉痛がじわじわ出てきました……。笑
実際の流れ
8:00 朝食 三分粥へ
食後はお腹がぐるぐるしますが、微かなげっぷとおならですこし改善しました。まだ腹の中に空気が溜まっている感じがします。
トイレ歩行は点滴棒なしでもできるようになりました。
10:00 主治医来室
主治医が来室され創部を確認してもらいました。透明のフィルム材(おそらくテガダーム)を剥がして、白いテープ(おそらくステリ)に張り替えられたようです。
創部の状態が良いので、シャワーの許可がありました。創部もばい菌を取り除く目的で優しく洗ってみて、とのことでした。
12:00 昼食
3分粥250g。おかずも少し増え、わりとかたちのあるものがでてきました!
お腹が空いていたので10分で食べてしまったせいか、お腹が急激にぐるぐるし始めます。ガスが出る際にお腹の痛みがあったり、昨日の昼に逆戻りした感じでした。

おなかが空いていても油断禁物。よーく噛んで少しずつ食べましょう……。
14:00 初回排便
術後、初回の排便がありました。手術前日・当日に浣腸もしていますし、当日から翌朝まで絶食だったので、普段1~2日に1回の排便周期の私にしては早く出たほうです。
硬め〜軟便がバナナ1/2本程度でしたが、座位で腹部の圧迫感を感じていたのがだいぶ楽になりました。
15:00 術後初シャワー
かがむと腹圧がかかって辛いので、なるべく腹圧がかからないように動作しました。歩行時おなかに響いていたのが、少しずつ響かなくなってきました。
18:00 5分粥へ
5分粥250g。おかずもさらに増えていました。(マリービスケットも!笑)
昼の一件があったのでしっかり咀嚼してゆっくり食べているとじわじわと腹痛と発汗がありました。でも腸が動いてガスがしっかり目に出たあとは、腹痛が和らぎました。
19:00
マスクはしていましたが、ふとしたタイミングで喉がイガっとしてむせ込んでしまい、腹圧がかかって傷口が痛くなりました。しばらくして落ち着くと元に戻りましたが、口が空いて乾くとイガイガしやすいので要注意です。

病院は乾燥しやすいので、のどの症状が気になるのでしたらマスクを常時して保湿するのも良いかもしれません。
20:00 差し入れの飲むヨーグルトを飲んでお腹を下しました。
21:30 そんなに痛みませんが、寝る前にカロナールを飲みました。
術後3日目
23:00-6:30まで、1回起きましたがおおむね寝れました。
気をつけると良いこと
・食欲が戻ってきていても胃腸はまだ回復途中なので、昨日の食べ方をしばらく継続する
・今日が退院前日の場合、天気予報で外気温を確認しておく(退院の服装が気候に合っていそうか確認する)
腹腔鏡手術の場合、大体術後4,5日目で退院のことが多いようです。季節によっては1週間の入院中に気候がガラッと変わることがあるので、退院時の服装には注意です。私の場合、入院日と退院日で気温が10度くらい違いました。入院時に来ていた厚め長袖トレーナーを退院時に着ましたが、ちょっと暑かったです。
実際の流れ
7:00 朝食 全粥へ
全粥350g。昨日までは食べながらお腹が痛くなりましたが、今日はそこまで痛みも強くなく、お腹もぐるぐる動かなかったです。よく噛んで食べました。
12:00 昼食 ご飯へ
ご飯180g。3日目昼から普通のご飯に戻りました。何度も書いていますが、よく噛んで食べないとお腹に負担になって腹痛を起こしそうだったのでしっかり咀嚼しました。食後の腹痛は少しだけありましたが、我慢できる程度でした。
13:00、14:00 普通便あり
午後の検温時に、退院後の生活についての指導の紙を渡されました。
・外来受診日まではシャワーにする
・不正出血や創部の異常(出血、発赤、腫脹、疼痛などの感染兆候)が見られたら受診する
・家事や育児は無理のない範囲内から再開して、すこしずつ身体を慣らしていく
というような内容でした。

どの病院もたいてい術後患者に対しては退院前指導をしています。わからないことがあれば、看護師に聞いてみてください。
※3日目の夜は創部の痛みもほぼ感じなかったので、明朝退院ということもふまえて寝る前の痛み止め無しで寝てみました。
術後4日目 退院日
痛みはほぼなくしっかり寝れました。これで退院後も痛み止め無しで寝れそうです。
症状
食事時に腸が動く&軽度腹痛(お腹くだしそうな時みたいな感じ)、座位でやや腹圧かかる感じがする程度でした。

痛いところはなし!
7:30 普通便あり
10:30 夫が迎えに来て、主治医から病状説明。
11:00 退院
病状説明のときは、実際に取った腫瘍の写真を見せてもらえました。成熟性嚢胞性奇形腫の場合、髪の毛や爪などが詰まっていることが多いのですが、私のはほとんど髪の毛でした(あと油も少し浮いてました)
退院後、気をつけると良いこと
・退院日以降もしばらくは消化の良い食事内容にする
・よく咀嚼する
・時間をかけてゆっくり食べる
・家事や育児はすこしずつ
とにかく胃腸の負担を避けることです。子育て中で子どもも小さくゆっくりしていられない!という方は、分食(何回かに分けて食べる)しても良いと思います。
また1週間のベット中心の生活で、体力と筋力が自分が自覚しているよりも落ちています。家事や育児は無理をしない範囲で……といっても、お子さんがいたりするとなかなか難しい方もいるかと思います。早期回復のためにも、いつもよりゆっくりペースで行うこと・妥協することを心掛けてみてください。

退院翌日に普段通りに家事してしまい、疲労という名の反動がしっかりきました……。
まとめ
卵巣腫瘍摘出術(腹腔鏡手術)の術後1日目の安静解除から退院まで、実際の流れや症状、気をつけると良いことをまとめました。
私の場合、創部痛などはほとんどなくこの期間の主症状は腹部症状がメインでしたが、人それぞれと思います。この体験記を読むことで、同じような手術を受ける方の不安や心配をすこしでも減らせるお手伝いができたなら嬉しいです。
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